「沖縄県子どもの居場所ネットワーク記念講演会」の開催(県社協)

 近年、子どもの居場所づくりは、地域で子どもたちが安心して集うことのできる場、多様な学び・体験、多世代交流の場、地域のつながりや見守りの役割を果たす場所として関心や期待が高っており、全国的に広がりを見せている。

 本会では、「子どもの居場所からはじまる地域の支え合い」と題して、令和元年11月26日、沖縄県総合福祉センターゆいほーるにて「沖縄県子どもの居場所ネットワーク記念講演会」を開催した。(主催:県、県社協)

 これは、県内の子どもの居場所や学校、地域のネットワーク構築を目指すもので、子どもの居場所関係者や行政、民生委員等、約200名が参加した。

会場の様子

 まず始めに、琉球大学人文社会学部教授の本村真氏から、今年度からスタートした「沖縄県子どもの居場所ネットワーク事業」についての説明があり、ネットワークについて検討する「沖縄県子どもの居場所ネットワーク支援等検討会」の設置、目指すネットワークの形や、子どもの居場所や行政のヒアリングの中から浮かび上がってきた課題等の報告がなされた。

 次に、浦添市こども政策課主幹の仲本力氏と、浦添市内で子どもの居場所を運営し、子ども達に朝食を提供している、「浦城っ子児童センターぽかぽかステーション」代表の山田輝子氏からは、子どもの居場所と学校が連携した取り組みについての発表があった。

 そして、不登校児や生活保護世帯の子ども達の支援をしている専門的分野から、拠点型居場所の取り組みについて、「NPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい」代表理事の金城隆一氏からは、子どもの家庭や養育を背景に寄り添った支援についての実践発表がなされた。

 続いて講演会では、「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」理事長の湯浅誠氏による講話が行われた。

講演を行う湯浅氏

 湯浅氏は、会話が極端に少ない家庭で育った0歳児~3歳児は、接する言葉の数が、高収入・高学歴の家庭より32万語、発する単語が少ないという海外の研究結果を紹介し、「小学校に上がる段階で既にスタートラインが違う。学校だけでは格差是正機能はなく、これ以上、この差を広げないようにするしかない」と述べた。「頑張る力や生きていく上で必要な力は、学校の外でも提供できる」とし、「通学路を見守る人が、できれば100メートル、子どもと一緒に歩き話しかけるだけで32万語の差は少し縮まる。地域の人達にもできることがたくさんある」と語られた。

 また、社会的養護が必要な子ども達を埋もれさせないため、発見機能のある子どもの居場所と専門的支援を図る行政とをつなぐ、「多様性のあるネットワーク」の必要性にも触れ、「さまざまな機関が連携を図る上での母体となる。浦添市が行っている行政と子どもの居場所間の連携や、専門的な分野の取り組みを行っているちゅらゆいの活動は先駆的な取り組み。試行錯誤はあるだろうが、異なる分野の人たちが、互いに理解し合える沖縄を目指して欲しい」と呼びかけた。

 今回の記念講演会を契機に、本会では、子どもの居場所団体や各関係機関・団体と連携のもと、子どもの居場所の活動強化や持続的な活動に向けて、ネットワークの推進に取り組んでいくこととしている。