コミュニティソーシャルワーク実践セミナー(報告)

H28.2/4 コミュニティソーシャルワーク実践セミナー」報告

平成28年2月4日、沖縄県社協では「コミュニティソーシャルワーク実践セミナー」を開催した。セミナーには市町村社協のコミュニティソーシャルワーカー(地域福祉活動コーディネーター)ら55名が参加し、会場となった県総合福祉センターでは熱心に受講する職員の姿が見られた。

沖縄県社協では地域福祉の総合的な推進を図るため、コミュニティソーシャルワークの普及・実践と小地域福祉活動の活性化に向けた支援に力を入れており、このセミナーは「コミュニティソーシャルワークの視点による小地域福祉活動の活性化と社会資源開発」というテーマのもと、社協職員のコミュニティソーシャルワークの実践力を養うことを目的に開催した。

冒頭に、「社会資源開発を進めるうえでコミュニティソーシャルワーカーが大事にすべき6つの視点」として、沖縄県社協コミュニティソーシャルワーク研究会スーパーバイザー会議で取りまとめた研究成果について報告した。

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▲基調報告を行う神里博武氏
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▲実践報告を行った3社協の担当職員
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▲ 講師を務めた 淑徳大学 山下興一郎 准教授
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▲ 熱心に討議をする参加者

次に、「沖縄の小地域福祉活動~実態調査から見えてきた課題~」と題して、かみざと社会福祉研究所 主宰の神里博武氏より、県内の小地域福祉活動の現状について基調報告が行われた。この中で、活動の担い手となる新たなボランティアの養成が進んでいない現状や特に町村部において自治会を単位とする小地域福祉推進基礎組織の組織化が進んでいない課題が挙げられた。

続いて、県内3社協(竹富町・浦添市・西原町)から「小地域福祉活動活性化モデル事業」の実践報告が行われ、それぞれの地域の実情に応じた活動展開について報告がなされた。(関連記事「小地域福祉活動活性化モデル事業 報告」)

午後には、基調講演として淑徳大学 総合福祉学部社会福祉学科准教授の山下興一郎氏が講師を務め、「社会資源開発のプロセスと実践例について」と題して講演が行われた。この中で、前段の3社協の実践報告に対する振り返りと助言のほか、コミュニティソーシャルワークの専門的援助としての社会資源の開発・活用の必要性、丁寧なアセスメントにより個人の状況や地域特性をつかむことの大切さなどについて解説した。

続く演習では、「社会資源開発の視点を取り入れた小地域福祉活動の活性化に向けた模擬企画会議」としてグループワークが行われ、県内の小地域福祉活動の課題の中から1つを選択し、各グループにおいて①解決に向けた推進方策の提示、②社会資源開発の視点を取り入れた推進方策の検証、③推進方策実施に向けたプロセスについて討議し、その成果を発表し合った。

参加者からは、「何を意識して日常業務を取り組んだらよいか整理できた」、「サロンに呼び込むためには本人に合わせたプログラムが重要だと再確認できた」といった声が聞かれた。

県社協では、「社会的孤立をゼロにする運動」を推進する中で市町村社協等に配置されるコミュニティソーシャルワーカーの配置促進と資質向上に向けて取り組んでいる。今後も、職員研修等を通じ、コミュニティソーシャルワーク実践と小地域福祉活動の推進による社会的孤立の解消・防止に取り組んでいく考えである