小地域福祉活動活性化モデル助成事業 報告

平成26年度 小地域福祉活動活性化モデル事業 報告

沖縄県社協では、住民の身近な生活圏域における小地域福祉活動の基盤整備と活動の活性化等を目的に、市町村社協を対象としたモデル助成事業を実施した。
助成金の財源には赤い羽根共同募金の配分金が充てられ、身近な福祉活動に役立てられている。平成26年度は伊是名村、伊平屋村、浦添市、竹富町の4市町村社協を指定し、地域における要援護者の見守り体制の構築やふれあい交流事業の推進が図られた。

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波照間島でのふれあいサロン立ち上げ(竹富町社協)

小地域モデル事業報告(写真3)
▲高齢者へインタビューする波照間小の児童

竹富町社協(根原憲永会長)では、波照間島をはじめとする「ふれあいサロン」(以下、「サロン」)活動の活性化と福祉教育の推進に取り組んだ。
竹富町には8つの有人離島があるが、このうち波照間島は日帰りが難しいため頻繁に通うことができず、地域活動が実施されて状況もあったため、社協による支援強化が求められていた。
このような中、モデル事業を活用して波照間島におけるサロン活動の立ち上げ支援と波照間小学校での福祉教室が実施された。
サロンの立ち上げでは、島内の60~70代の女性数名に声をかけ、DVD鑑賞や軽体操などのプログラムを月1回行うこととなった。
また、波照間小学校での福祉教室では、地域で暮らす高齢者への「ふれあいインタビュー」を通じて、学校と地域住民との相互理解を深めることができた。
これらの取り組みを通じて地域ボランティアの発掘や関係機関との協働など、今後につながる連携関係を築いた成果は大きい。
このほかにも、黒島地区での住民懇談会や小浜小学校での福祉教室、白浜地区での地域づくり座談会など小地域活動の活性化に向け精力的に取り組んだ。
町社協では、モデル事業終了後も「結のまちづくり推進事業」を独自で実施し、この中で地域福祉推進の基盤整備を継続していく予定である。(助成金額60万円)

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地域見守り体制を構築(浦添市社協)

小地域モデル事業報告(写真1)
▲神森中学校区コミュニティづくり推進委員会の様子

浦添市社協(赤嶺義雄会長)では、自治会事務所や集会所を活用した「地域相談窓口(ふれあい相談室)」の設置に向けた体制整備に取り組んだ。
地域相談窓口は、地域住民が相談員となり、住民から寄せられる相談に対処することで地域の課題を地域で解決する仕組みづくりを目指すものである。市社協では平成25年度にもこのモデル事業を活用して市内7か所の自治会で地域相談窓口を設置した実績があり、今回はさらに4自治会での実施に向けて取り組んだ。
窓口に寄せられる様々な相談に対応するため、市社協では「相談員養成・フォローアップ講座」を開催し、相談員の資質向上に努めるとともに市内5つの地域保健福祉センターに配置されるコミュニティソーシャルワーカーによるバックアップ体制を整えた。
また、助成金を活用して窓口の拠点整備を行ったほか、チラシの作成や社協広報紙への活動紹介を通じて市民への広報活動にも力を入れた。あわせて、実施する地区の自治会への事業説明を丁寧に行い、相談窓口の必要性や相談員の役割を十分に理解したうえで開設を進めた。
地域相談窓口には福祉的な課題に限らず幅広い内容の相談が寄せられるが、「地域の課題を地域で解決しようとする取り組みは、自治会活動に向けた住民の意識高揚にもつながり、ひいては防犯・防災・児童の健全育成などあらゆる分野へ好影響をもたらしている。
市社協ではモデル事業終了後も市内全域での窓口設置に向けて取り組んでいく予定である。(助成金額40万円)

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地域見守り体制を構築(伊是名村社協)

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▲関係機関が集まっての会議の様子

伊是名村社協(前田清治会長)では、関係機関と連携して地域における見守り体制づくりに取組んだ。
数年前、村内のある字で3件の孤立死が発生したことに危機感を覚えた区長から社協に相談が寄せられたことがきっかけとなり、モデル事業への応募につながった。
「近隣・ご近所」という意味の島言葉をあてて「けーとぅねー支え合い活動事業」と名付け、村内全5字における見守り体制の構築を目指した。各字の区長の推薦によって住民の中から「福祉連絡員」19名を配置したほか、郵便、新聞配達、電気、水道の検針員などの事業者に「地域見守り隊」として協定書を締結した。
社協で作成した福祉マップをもとに、日常的に誰が誰を見守るのかを確認し、異変を発見した際の連絡体制を周知することで見守りのネットワーク化を図った。
また、村社協が行う「願寿大学」(サロン活動)や生活支援サービスと連携することで社会的孤立の防止にも努めた。
さらに、各区長、民生委員、地域包括支援センター職員、社協職員らが参加する「支え合い活動連絡会」において互いの情報共有を図ったほか、認知症に関する講習会等へ参加した。
この事業をきっかけに、関係機関との連携強化、住民への民生委員活動の周知、社協事業への参加促進等の副次的効果も上がっている。
(助成金額45万円)

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「買い物お届け隊」による生活支援(伊平屋村社協)

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▲高齢者の孤独感の解消につながっている。

伊平屋村社協(諸見康弘会長)では、地域の高齢者などを対象とした「買い物等日常生活支援事業」に取り組んだ。田名区婦人会の協力を得て「買い物お届け隊」(10名)を結成し、買い物代行または買い物への同行による支援を週2回程度行った。
当初は、島内5字のうち、共同売店がない野甫地区を対象エリアと想定していたが、他のエリアにも交通環境や身体状態から自力での買い物が困難な高齢者が少なくないことから、村内全域に広げて実施した。
具体的には、田名区共同売店を拠点とし、共同売店が注文を受け付け、配達する商品を準備しておき、お届け隊のメンバーが商品を受け取って利用者宅へ届けるというもの。利用料は無料で、お届け隊のメンバーには交通費が支払われる。
単に買い物の代行・宅配ではなく、利用者と会話することで安否確認や孤独感の解消につながっているほか、日誌の記録や情報共有を通じて見守りの機能も果たしている。
また、社協が実施するミニデイ、訪問介護、配食サービス事業とも連携し、利用者の見守り、居場所づくりの効果をお互いに高め合うよう工夫をしている。

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平成25年度 小地域福祉活動活性化モデル事業 報告

沖縄県社協では、住民の身近な生活圏域における小地域福祉活動の基盤整備と活動の活性化等を目的に、市町村社協を対象としたモデル助成事業を実施した。
助成金の財源には赤い羽根共同募金の配分金が充てられ、身近な福祉活動に役立てられている。平成25年度は那覇市、嘉手納町、西原町、与那国町の4市町社協を指定し、災害に強い地域づくりや地域における要援護者の見守り支援体制づくり等の推進を図った。

活動実績の概要は以下のとおり。

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防災を切り口に地域内の連携を強化(那覇市社協)

地域-モデル事業報告(写真1)
▲バーチャルマップ研修

那覇市社協(仲里政幸会長)では、真和志第二民児協、真和志第四民児協の2つの民児協エリアにおいて民児協と自治会との連携を深めることをねらいに、災害時における要援護者支援を切り口にしたネットワーク化に取り組んだ。
具体的にはまず、自治会長、民生委員、福祉協力員等の参加による地域懇談会を開催し、地域との関わりについて協議するとともに、マップを囲みながら災害時の危険個所等について情報を共有した。さらには、県外講師を招いての「災害時要援護者支援に関する研修会」を開催。真和志第四民児協エリアを想定したバーチャルマップ(仮想地図)を作成するなど理解を深めた。その後、寄宮地区において避難訓練に向けたマップ作り、民児協への訓練プログラム説明会の開催、自治会との調整会議を経て、2月には避難訓練を実施した。こうした取り組みを通して地域内での連携が図られるとともに、新聞販売店を福祉協力員として養成し、見守り体制を強化することができた。
防災を切り口に、関係者間で地域の状況を共有しながら具体的なアクションにつなげることで、地域における要援護者の避難経路を確認するなど成果をあげた。

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 「南区地域見守り隊」の組織化を支援(嘉手納町社協)

地域-モデル事業報告(写真3)
▲南区地域見守り隊が発足

嘉手納町社協(松堂忠仁会長)では、町内における小地域福祉活動のさらなる活性化の足掛かりとして、南区をモデル地区に指定しての住民活動の組織化を支援した。
社協が南区自治会へ働きかけ、12月に「南区地域見守り隊」が発足。自治会長を中心に民生委員や子ども会、青年会、婦人会、老人クラブ、社協役員等計18名が参加し、「みんなが安心して暮らしていける南区」を目指すこととなった。
また、先進地域から実際の小地域福祉活動を学ぼうと、宜野湾市伊佐区自治会での活動を視察した。視察後はワークショップ形式で視察研修の振り返りを行い、南区の「良い現状」と「気になる現状(課題)」について意見を出し合い、情報共有を行った。出された意見の中には、地域活動が活発で公共施設が充実している反面、地域内における情報の共有化やコミュニケーション不足を課題とする声が寄せられた。
嘉手納町社協では、見守り隊の活動の成果を住民と共有しながら、住民の自主的な活動のきっかけづくり仕組みづくりに取り組む方針である。
この他にも、社協では小地域福祉活動の啓発用リーフレットを作成しており、今後は、町内の他自治会への普及・啓発を通じて小地域福祉活動の活性化を図っていく予定である。

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住民の自主的な見守り体制づくりをサポート (西原町社協)

モデル事業報告(写真①)
▲小波津団地自治会での認知症サポーター講座

西原町社協(新川善昭会長)では、町内の一人暮らし高齢者や障害者世帯などが、地域の中で孤立することなく安心して暮らせるよう、見守り活動の強化や支え合いの体制づくりに取り組んだ。
まず、町内32自治会の中から西原台団地、小波津団地、平園の3自治会を指定し、各自治会における要援護者の把握のため、福祉マップの作成と要援護者台帳の整備を行った。福祉マップづくりには自治会長をはじめとする地域福祉推進会(住民による自主組織)のメンバーが参加し、いわゆる「気になる世帯」の情報共有を行う中で、見守り活動の必要性を確認した。
また、3自治会で住民を対象とした「認知症サポーター養成講座」を開催し、認知症に対する理解を深めることで、地域で支え合う意識の向上を図った。
小波津団地自治会では、今年3月から「お元気ですか電話コール」という見守り活動がスタートした。この活動は、地域の気になる世帯へ手分けして電話をかけ、電話に出なければ直接訪問して安否を確認するというもので、地域での孤立防止に役立っている。
この他、平園自治会では防犯・防災会議を実施し、地域に住む警察官や消防職員、町防災課担当職員等が参加しての危険個所チェックを行う等、自主的な取り組みが広がりつつあり、他の自治会においてもモデル地区を参考に支え合い体制づくりに取り組んでいる。
町社協では、今後、地域福祉推進会と社協コミュニティーソーシャルワーカーとの連携のもと、地域住民による独自の見守り活動が継続的に展開できるよう支援していく考えである。

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少人口だからこそ光る 住民参加を促す工夫 (与那国町社協)

モデル事業報告(写真③)
▲比川地区でのまるんなサポート事業

与那国町社協(東小浜功尚会長)では、町内の比川地区をモデル指定し、福祉推進組織を中心とする見守り・支え合い活動の促進に取り組んだ。
具体的には、公民館を拠点として三世代(子ども、親、祖父母・お年寄り)の交流を図る「お楽しみ会」等の企画・運営、「まるんなサポート事業」と名付けたミニデイの実施、浜清掃、花いっぱい運動、避難訓練と様々なメニューを行った。
こうした事業を進めるにあたり、社協では公民館(自治会)や小中学校と連携しつつ、人口の少ない地域だからこそ多くの住民に参加してもらい、活動に係る一人ひとりの負担を減らそうと努めてきた。
その中で工夫した点としては、既存の地域行事に合わせてイベントを実施した点、あらゆる世代を巻き込むことで住民の参加を促した点などがあげられる。また、ミニデイサービスでは、月1回行われる行政の健康相談事業と合わせて実施することで、住民が参加しやすいよう工夫した。
このように、地域の中に支え合いの意識やきっかけを提供するために、全世代をターゲットとし、福祉活動を地域行事と関連付け、美化活動など取り組みやすいメニューを提示することで、多くの住民参加を実現した。与那国町内でも最も人口の少ない比川地区での取り組みは他の地域からの反響も大きく、良きモデルとしての広がりも期待されている。

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