小地域福祉活動への住民の主体的な参加を促す働きかけ6つのポイント

小地域福祉活動への住民の主体的な参加を促す働きかけ6つのポイント

平成30年3月15日

平成28・29年度 沖縄県社協コミュニティソーシャルワーク研究会

 沖縄県社会福祉協議会では、県内におけるコミュニティソーシャルワーク実践の推進に資するため、平成22年から市町村社協職員、学識経験者らで構成される「沖縄県社協コミュニティソーシャルワーク研究会」を設置しています。

 平成28年度から平成29年度にかけて「小地域福祉活動の活性化に向けたコミュニティソーシャルワーカーの関わり方」をテーマに協議を重ねてきました。この度、今期の取組みの成果を総括し、以下のとおり、小地域福祉活動への住民の主体的な参加を促す働きかけの6つのポイントについて提言します。

 地域を良く知っている方との顔の見える関係づくりとアウトリーチによる福祉課題(ニーズ)の把握に努めよう。
 コミュニティソーシャルワーカーは、地域の福祉課題を把握するにあたり、積極的に地域に出向き、地域のことを良く知っている自治会関係者や民生委員、ボランティアなどのキーパーソンと「顔の見える関係」を築きながら情報を共有します。 定期的にあいさつに回ったり、声をかけたりといった普段からの関わりを大切にすることで相互の信頼関係が生まれ、連携・協働の場面で力を発揮します。

 また、社協における相談実績集計や行政の統計資料等を活用し、客観的に地域特性や地域課題を把握することも重要です。集めた情報は、職員間で共有するとともに住民にも分かりやすい形でまとめておくことが重要です。

 地域の福祉課題(ニーズ)ばかりに着目するのではなく、地域ができることを評価し、これからの活動につなげよう。
 地域の福祉課題の解決に向けて住民が主体的に取り組むためには、住民の理解と協力が不可欠です。福祉課題を共有するにあたっては、課題の部分にばかり着目するのではなく、地域の持っている「良さ」や「強み」にも目を向け、住民に伝えることが重要です。 この時、コミュニティソーシャルワーカーは地域で行われている支え合い活動の成果や特徴を住民に伝えることで「やる気」を喚起し、さらなる活動の推進と地域課題の解決に向けた取組みにつなげられるかを住民と一緒に検討します。

 また、自治会単位又は校区単位で住民による「支え合い委員会」や「コミュニティづくり委員会」などの組織化を進め、住民自ら福祉課題への対応について検討する場を持つことで、小地域福祉活動が進めやすくなります。

 住民に身近で立ち寄りやすく、安心できる小地域福祉活動の拠点を整備しよう。
 住民が集い、交流する拠点を整備することも小地域福祉活動の推進の鍵となります。拠点を整備するにあたっては、住民に身近で立ち寄りやすい場所に立地するようにし、公民館などの既存の施設のほか、空店舗や空き家の活用も検討します。拠点は居場所の機能を有するのはもちろんのこと、相談を受けられる場所、課題を検討・協議する場所にもなります。 例えば、子どもの学習支援といった福祉課題(ニーズ)とボランティア活動をマッチングすることで活動の場を創出することも可能となります。

 拠点の運営に当たっては、住民やボランティアの自主性を尊重し、イベントの実施等を通して積極的に交流する機会を設けることで誰もが安心して利用できる拠点づくりにつながります。

 地域の社会資源を巻き込みながら、連携・協働・役割分担を意識して活動を推進しよう。
 小地域福祉活動を支援するにあたり、コミュニティソーシャルワーカーは自らが「橋渡し役」となって地域の社会資源をつなげていく役割が求められます。 例えば子どもの支援を実施するにあたっては、学校だけでなく地域の自治会や企業、NPOを巻き込むことで大人の協力・参加を促すことにつながります。それぞれの特技や強みを生かせるような役割分担を意識し、「みんなで取り組む活動」を目指します。

 役割分担を行う前提として、コミュニティソーシャルワーカーの役割を連携相手がしっかりと理解しておく必要があります。そのためにも、ワーカーは自らの役割について相手に分かりやすく伝えられるよう準備しておくことが求められます。

 住民の「地域を良くしたい」という思いに寄り添い、住民の自発性を高めよう。
 小地域福祉活動では住民の自主性を尊重することが重要となります。一方で、活動の停滞やマンネリ化などが見られた場合、コミュニティソーシャルワーカーの働きかけが求められる場面があります。この時、例えば、活動実践報告会を開催することで、住民が自らの活動実践を発表するとともに他の地域の実践事例を知り、新たな活動展開につなげることが期待できます。 コミュニティソーシャルワーカーは、時には住民の歩幅(ペース)で「待つこと」も必要だと認識し、その間も地域への目配り、気配りを続け、「仕掛ける」タイミングを見定めます。

 住民の「地域を良くしたい」という思いに寄り添うことで、住民の自発性を高めていくことが求められます。

 福祉教育で思いやりの心を育て、住民の活動への参加意識を高めよう。
 福祉教育を推進することは、思いやりの心と助け合いの精神を育て、地域の中で共に生きる「人づくり」につながります。コミュニティソーシャルワーカーは、福祉教育を通じて児童・生徒に対し、身近な地域で暮らす高齢者や障害者などの多様な生活や生き方があることを伝え、安心・安全の地域社会を築くための小地域福祉活動の意義について理解してもらいます。 福祉教育の実施にあたっては、地域の大人を積極的に巻き込むことで、「子どもたちのために頑張ってみよう」というやる気を喚起し、小地域福祉活動への参加のきっかけづくりも期待できます。そして、地域支え合い活動を通して、住民が相互に「誰かのために役立ちたい」という願いの実現を可能にし、人間としての尊厳を輝かすことにつなげることができます。

 

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