事業所段階での苦情解決

各福祉サービス提供事業所においては、利用者からの苦情等に対して適切な解決に努める義務があります。(社会福祉法第82条)
国では、「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針」
を示しました。この指針によると、次のような苦情解決体制を整えることが望まれます。

苦情解決体制
各事業所には、「苦情解決責任者」、「苦情受付担当者」、「第三者委員」が設置されています。

(1)「苦情解決責任者」とは
苦情が適切に解決されるよう、その責任主体を明確にするため「苦情解決責任者」が設置されています。施設長、理事等が苦情解決責任者となります。

(2)「苦情受付担当者」とは
利用者が苦情を申し出やすい環境を整えるため、職員の中から苦情受付担当者が任命されています。苦情受付担当者は、(ア)利用者からの苦情の受付、(イ)苦情内容、利用者の意向等の確認と記録、(ウ)受け付けた苦情やその改善状況等について苦情解決責任者や第三者委員へ報告、などを行います。

(3)「第三者委員とは」
苦情解決に社会性や客観性を確保し、利用者の立場や特性に配慮した適切な対応を推進するため、第三者委員が設置されています。
第三者委員は次のような職務を行います。
(ア)苦情受付担当者から受け付けた苦情内容の報告聴取
(イ)苦情内容の報告を受けた旨の苦情申出人への通知
(ウ)利用者からの苦情の直接受付
(エ)苦情申出人への助言
(オ)事業者への助言
(カ)苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いへの立会い、助言
(キ)苦情解決責任者からの苦情にかかる事案の改善状況等の報告聴取
(ク)日常的な状況把握と意見傾聴

苦情解決の手順
主に、次のような手順で苦情解決を進めていきます。

(1)利用者への周知
施設内への掲示やパンフレットの配布等により、苦情解決責任者は、利用者に対して苦情解決の仕組みについて周知を図ります。

(2)苦情の受付
苦情受付担当者は、利用者等からの苦情を随時受け付けます。また、第三者委員も直接苦情を受け付けることができます。苦情受付担当者は、苦情受付があった場合は、苦情の内容や申出人の希望等について書面に記録し、第三者委員への報告の要否、話し合いの場への第三者委員の助言、立会いの要否などを検討します。報告や助言、立会いが不要な場合は、苦情申出人と苦情解決責任者の話し合いによる解決を図ります。

(3)苦情受付の報告・確認
受け付けた苦情はすべて苦情解決責任者および第三者委員へ報告します。ただし、苦情申出人が第三者委員への報告を明確に拒否した場合を除きます。

(4)苦情解決に向けての話し合い
苦情解決責任者は苦情申出人との話し合いによる解決に努めます。必要に応じて、第三者委員の助言を求めることができます。

(5)苦情解決の記録、報告
苦情解決や改善を重ねることにより、サービスの質が高まり、運営の適正化が確保されるためにも、記録と報告を積み重ねるようにする必要があります。

(6)解決結果の公表
個人情報に関するものを除き、「事業報告書」や「広報誌」等に実績を掲載することで解決結果を公表します。

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