「共に目指す『地域包括ケア』研修会」(H27.2.24)報告 

「共に目指す『地域包括ケア』研修会」報告

~地域包括ケアシステムの実現に向けた社協と地域包括支援センター等との連携を探る~

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▲ 講師の原田正樹 氏

平成27年2月24日、沖縄県社協では「共に目指す『地域包括ケア』研修会」を開催した。セミナーには市町村社協、地域包括支援センター、在宅介護支援センター等の職員79名が参加し、会場の県総合福祉センターでは熱心に受講する職員の姿が見られた。
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この研修会は、市町村社協と地域包括支援センター・在宅介護支援センター(以下、「包括等」という)がお互いの役割や特徴を理解し、相互の意見交換を通じて、連携強化のしくみづくりを図ることを目的に開催されたもの。
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冒頭の基調講演では、日本福祉大学 教授の原田正樹氏が講師を務め、地域包括ケアシステムの実現が求められる背景と近年の福祉政策動向を軸に解説し、社協と包括等の両方の視点から地域包括ケアについて理解を深めた。この中で原田氏は「団塊の世代が介護を必要とする2025年に向けて、中学校区程度の規模の『日常生活圏域』でのサービス提供体制の充実が求められている。具体的には、『一人暮らしで、認知症の、要介護度2の人が、地域で安心して暮らせるまち』を目指している」と地域包括ケアの方向性を解説。地域にある社会資源の違いによって地域間格差も生じてくると指摘した。
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続いて、かみざと社会福祉研究所 主宰の神里博武氏から「沖縄におけるコミュニティソーシャルワーク実践の効果と課題」と題した講話があった。この中で神里氏は、県内の市町村社協でコミュニティソーシャルワーカーの設置が広がってきている現状を紹介し、地域包括支援センター等の専門職との連携等を課題として挙げた。
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▲ワークショップの様子

午後からはグループに分かれ、「社協と包括等との連携」をテーマにワークショップが行われた。同一市町村または近隣や人口規模の同じ市町村の社協と包括等の職員が同じグループで意見交換することで、連携の第一歩のイメージを共有することができ、社協と包括等の「強み」や役割分担について相互理解を図ることができた。
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ワークショップの後、研修会の締めくくりとして沖縄県地域包括・在宅介護支援センター協議会 会長の比嘉達也氏より総括があった。比嘉氏は「制度やサービスだけで、その人を支援するのではなく、その人が地域で暮らしていくためには何が必要かを基準に考えることが必要。『できない』ではなく『私たちに何ができるか』という視点を持つように」と強調し、社協と包括等の今後の連携のあり方を示した。
同じく総括に立った神里博武氏は、社協と包括等が意見交換し合った今回の研修会の成果を強調し、社会的孤立への対応等、さらなる連携の必要性を訴えた。
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参加者からは、「改めて連携の重要性について認識できた」「お互いの事業内容を知る良いきっかけとなった」といった声が聞かれた。
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県社協では、中長期計画である「沖縄県社協21プラン」において「地域包括支援体制の確立」を掲げ、これまでも「地域包括ケアシステム」の実現に向け、県内の地域包括支援センターと市町村社協との連携に関する調査研究や意見交換を行ってきた。平成27年度の介護保険制度改正においても、地域包括ケアシステムの構築がポイントとなっており、「地域づくり」の観点から市町村社協と包括等との連携・協働はますます重要となってくる。
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県社協では今後も地域包括ケアシステムの実現に向け、市町村社協と包括等との連携・強化に取り組んでいく考えである。