「平成26年度市町村社協職員研修会(コミュニティソーシャルワーク実践セミナー)」報告

csw「平成26年度市町村社協職員研修会(コミュニティソーシャルワーク実践セミナー)」報告 

~住民の福祉ニーズを探るためのアンケート調査について理解を深める~

平成26年10月24日、沖縄県社協では「コミュニティソーシャルワーク実践セミナー」を開催した。セミナーには市町村社協のコミュニティソーシャルワーカー(地域福祉活動コーディネーター)ら35名が参加し、会場となった県総合福祉センターでは熱心に受講する職員の姿が見られた。

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沖縄県社協では地域福祉の総合的な推進を図るため、コミュニティソーシャルワークの普及・実践に力を入れており、このセミナーは地域アセスメントの手法について理解を深め、コミュニティソーシャルワークの実践力を養うことを目的に開催した。

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冒頭の基調講演では、日本社会事業大学准教授の菱沼幹男氏が講師を務め、地域アセスメントの意義とアンケート調査を実施するにあたっての留意点等について基礎的な学習を行った。この中で菱沼氏は「調査自体を目的化せずに、調査結果を受けて何をどう変えたいのか問題意識や目的意識を明確にすることが重要」と述べた。

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続いて、沖縄県内の2社協より地域における生活課題の発見に向けた取り組みについて報告があった。八重瀬町社協の島勉氏は、住民を対象とした福祉意識調査の取り組みを振り返り、「地域のことは地域の住民同士が、一番よく知っている。社協から出向き、住民等の声に耳を傾けることが重要」と強調した。また、嘉手納町社協の坂本一氏は、住民対象のワークショップでの説明資料を例に、「町や各区の実態を数字で示すことで、感覚で話すのと比べて地域の特色をわかりやすく伝えることができる」と調査情報の持つ説得力や有意性について報告した。

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午後からはグループに分かれ、菱沼氏を講師に、アンケート調査票の作成に向けた演習を行った。参加者自ら設定した調査目的、調査対象者に対してアンケート調査を実施することを念頭に、効果的な質問方法について検討し、実際にノートパソコンを用いて調査票を作成するという内容で演習が行われた。

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各グループからの発表の後、菱沼氏は「コミュニティソーシャルワーカーら専門職は、把握した課題やニーズを整理し、課題を抱える方々の思いを代弁する役割がある。そして、具体的に解決に向けて取り組む姿勢が求められる。」と総括した。

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参加者からは、「アンケートを実施するうえでの目的や考え方、手法を理解することができた」といった声が聞かれた。県社協では今後もコミュニティソーシャルワークのさらなる普及・促進と実践力の向上に向けた職員研修に取り組んでいく考えである。