社会福祉法人のチャレンジ
新たな社会福祉法人像の構築
「社会福祉法人ゆうなの会」
~住民参加型在宅福祉サービスの展開~
一、法人・施設の概要
法人名 社会福祉法人ゆうなの会
理事長 神谷幸夫
事業所名 特別養護老人ホーム大名
施設長 神谷幸枝
住所 那覇市首里大名町一‐四三‐二
二、事業の実践概要
①ふれあい給食サービス
首里地区内の一人暮らし老人に対し、毎週木曜日にボランティアの協力を得て友愛訪問を兼ねた給食サービスを行う。
②ふれあい昼食会と健康相談
施設設備と職員の専門技術の提供と、ボランティア協力による地域の高齢者のふれあいと健康相談を実施。
③サテライトデイサービス
首里地区の6か所の自治公民館で、ボランティアも参加してのデイサービスを実施。
三、実践に至った経緯と現状
施設開所当初から「地域とともに歩む」をモットーに施設づくりを行なってきた老人ホーム大名はまさに住民参加型在宅福祉サービスのパイオニアである。「地域からの働きかけを待つのではなく、施設の側から地域にかかわっていく」との方針から地域担当職員二人を配置、積極的に地域の会合等に出かけ、地域行事にも率先して参加した。「今では『地域あっての施設、施設あっての地域』ということが何の誇張もなく言えます」と神谷所長は語る。
老人ホーム大名の「住民参加型在宅福祉サービス」実践の一部は以下のとおり
①地域との緊密なネットワークは昭和61年から続いている週1回の「首里地区ふれあい給食サービス」に顕著に現れている。給食サービスは珍しいことではないが、大名の場合、施設がやるのは調理まで。後は盛付けをボランティアの「あじさい会」が行い、配送ボランティアが17ある拠点に弁当を届ける。この拠点もスーパーや薬局、クリーニング店や個人宅など地域が担っている。最後は友愛訪問ボランティアが、拠点で受け取った暖かい弁当を一人暮らしのお年寄りに届けながらユンタクする。これが一人暮らし老人の安否確認等、生活の見守りにつながっている。
②法人の社会貢献事業として月1回、大名の地域交流ホームで実施している「ふれあい昼食会と健康相談」も地域の高齢者が楽しみにしていて毎回100人ほどが集い、盛りあがる。今では送迎から余興等の企画・運営までを全てボランティアが担っている。併せて実施する健康相談も当初は施設の嘱託医や看護師が担当していたが、今では看護師もボランティアである。
③平成7年から3年間、日本生命財団の助成事業として「支えあい、助け合いのまちづくり事業 いいあんべ~大名ぬくぬく」を開始したのがゆうなの会の地域福祉事業を一段と加速した。この事業は高齢者の福祉と健康の増進を目的とし、地域福祉のシステム化を図る先駆的な事業を行なうもの。また、この事業の一環として「リフレッシュ翠の家」を開所した。これは既存の制度・施策の谷間におかれ、適切なサービスを受けられない閉じこもりがちで身体の不自由な在宅高齢者にリハビリ・生活訓練と憩いの場を提供するもの。さらに、翠の家で6か月の機能訓練を終了したお年寄りの受け皿として、久場川公民館で「サテライトデイサービス」も開始した。こうした実践が高く評価され那覇市の委託事業に結びついた。この事業も多くのボランティアの協力を得ている。現在では首里の6自治公民館で実施されている。
ちなみに、老人ホーム大名には地域住民による地域防災委員会が設置されている。大名の緊急システムが地域防災協力員とホットラインで結ばれていて、火災等の事故の際には緊急システムが作動し、地域防災協力員が駆けつける。老人ホーム大名は「地域の『ホーム』」という意識が地域住民にしっかり根付いている証である。
四.今後の展望
ゆうなの会では、今後、在宅の高齢者が気軽に外出できるよう介護移送サービスや介護保険非該当の高齢者ができるだけ元気に地域で生活できるよう、筋肉トレーニングやパワーリハビリなどを取り入れた「介護予防」にも取り組みたいと意欲的だ。
五.今回のチャレンジに思う
大名地域福祉推進会と年間受入れ述べ5000人というボランティアの活力に支えられて、ゆうなの会は地域の福祉ニーズに先駆的に取り組んできた。施設と地域の双方向のベクトルはさらに大名地域の「福祉力」を高める原動力になることだろう。
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福祉情報おきなわVol.99(2005.1.4) |
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