シリーズ活動最前線
学び方のちがう子どもたち
~沖縄県LD児・者親の会「はばたき」~
学習障害(Learning-Disabilities:LD)とは、知的発達の全般的な遅れではなく、部分的な認知発達の遅れや偏りから、主に学習上に特異なつまずきや習得の困難な状況を指すもので、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論するといった能力のうち、特定のものの習得が難しい障害でもある。黒板の字を時間内に写せない、漢字を覚えるのが苦手、先生の指示が覚えられない、聞き間違いが多く、集団行動で一歩出遅れてしまう、ルールのある遊びやスポーツが苦手など、誰にでもある不得意なことが障害として存在する。もちろん、これらすべてがLDにあてはまるわけではないが、正しい知識や理解の不足から、周囲から「怠けている、努力が足りない」と誤解されてしまうことが多い。
沖縄県LD児・者親の会は1995年11月に、当時琉球大学の教員であった平田永哲氏の呼びかけで設立された。知能はそれほど低くない、しかし年齢のわりに学習面、社会性に遅れがみられる。世間からはしつけの問題と言われ、子育てに苦しむ親も少なくない。当初は、こうしたLD児を持つ親の自助グループとして発足した。
体操教室
「はばたき」の活動は、月に1回の定例会を開催しての情報交換や勉強会、一般の方や行政・教育機関に対しLD児の正しい認識を広げるための啓発活動、また、子供たちを対象とした体操教室、水泳教室などがある。特に、毎週水曜日午後7時半から、南風原町の北丘児童館で行っている体操教室は、多くの子供たちが参加するメインとなる活動でもある。参加する子供たちは20人前後。母親も一緒に教室に参加している。教室では、約90分間の体操を通して、多の子供たちとのコミュニケーションの方法などの対人関係(ソーシャルスキル)の訓練を行う。一見、ふつうの子が楽しそうに体を動かしているようにみえるなかにも、集団行動を通して、子供たちは学校現場で学ぶことが困難であった「自分らしさ」を発揮することを、自分に合った方法を見つけだし、社会的場面での適応できる技術を学んでいく。
二次的障害の怖さ
LD児にとって最も恐ろしいのは、さまざまな社会場面における叱責である。LD児はその行動から、他者から注意を受ける的になりやすい。家庭や学校生活、友人関係などさまざまな場面において叱責されると、子供は自信を失い、自己を責める。一見すぐには障害が存在することがわかりにくいため、「わがままな子」「親のしけが悪い」「子供の努力不足」など厳しい態度をとられることもある。しかし、さらなる障害は、そこから始まる二次的障害である。世間から厳しい指摘をうけることから、両親は精神的なストレスを受け、子供も「バカにされた」と自尊心を傷つけられ、不登校などの問題も引き起こすこともある。また、親自身がLDに対する認識がないため、子供に厳しくあたることもある。
「はだたき」からのメッセージ
会の代表で岡崎綾子氏は、「学習障害という名前にはこだわらないで欲しい。強い個性として子供を見つめて欲しい。」と強く訴えた。
また、「医療機関できちんと検査を受けて欲しい。わが子が学習障害であるとわかって悩むこともあるが、親が障害を正しく理解することで、適切な支援が生まれてくる。早い時期に障害を発見することで、子供の二次的障害の防止にもつながります。」と呼びかけた。
県内はまだ相談できる機関・施設は非常に少ない。特に医療機関が少ないという問題もある。「はばたき」では、社会に対し、学習障害に対する正しい認識を広げようと活動している。「社会がLDに対する正しい知識を持つことが、LD児のサポートにもなるのでは」と体操教室の参加者は話した。子供が困っていることに耳を傾け、「ありのままでいいんだよ」というメッセージを親が送り続ける。それがLD児の支援の第一歩となる。
沖縄県LD児・者親の会「はばたき」(代表:岡崎綾子)
福祉施設経営相談Q&A
Q昨年7月に改正された労働基準法の改正内容について教えて下さい。
A今回の労働基準法改正(平成16年1月1日施行)は、大きく分けて次の3点がポイントとなります。
(1) 有期労働契約の見直し
(2) 解雇に関わる規定の整備
(3) 裁量労働制の見直し
今号では、(1)の有期労働契約についてご説明します。法改正により、有期契約は、その契約期間の上限が、現行、最長1年⇒3年(一部3年⇒5年)となります。これに伴い、労働者の更新・雇止めに関する基準を定めることができる根拠規定が置かれ、行政官庁が、使用者に対し、必要な助言および指導をおこなうことができることになりました(改正法14条第2項・第3項)。
現在、通達(平成12年12月28日基発779号)では、「有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針」が示されています。その内容は、以下の4点です。
①契約の締結に際し、更新の有無及びその考え方、更新・雇止めを行う場合の判断基準を説明するように努めること。
②更新に際し、契約期間を不必要に短くすることなく、契約の実態や労働者の希望に応じ、できるだけ長くするように努めること。
③雇止めをする場合は、少なくとも30日前に予告するよう努めること。
④雇止めをする場合は、労働者が望んだ場合には、「契約期間の満了」とは別に、更新しない理由を告知するよう努めること。
今後定められる「更新・雇止めに関する基準」の内容も、上記のようなものになると思われますが、我々社会福祉法人においても、必要に応じて関連する就業規則等の見直しが求められます。
引き続き次号では、(2)解雇に関わる規定の整備についてご説明いたします。
福祉施設経営支援事業専門相談員 社会保険労務士 江尻育弘
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福祉情報おきなわVol.93(2004.1.1) |
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