社会福祉法人のチャレンジ ~新たな社会福祉法人像の構築~

『社会福祉法人与勝福祉会』


1.法人・施設の概要
 法人名・代表者/社会福祉法人与勝福祉会・理事長 大石榮
 施設名・施設長/特別養護老人ホーム与勝の里・施設長 長浜君子
 住       所/勝連町字南風原4902
 電  話  番 号/098-978-2629 


2.地域貢献実践の概要
 事  業  名/サテライト型デイサービス~津堅いこいの家
 事 業 内 容/平敷屋漁港からフェリーで30分、勝連半島の南東5kmに位置する人口600名余、高齢化率8%の津堅島において、民家を改修しサテライト型デイサービスを週3回(月・水・金)実施
 財     源/介護保険料、委託事業費(介護保険制度前は、自主財源、委託事業費)
 開始年月日/平成10年4月
 利 用 者 数/介護保険認定者27名、生きがい活動対象者12名(1日、15名程度が参加)
 1日のスタッフ数/5名(相談員、看護師、介護員、調理員)


3.実践に至った経緯と現状、課題
 この事業は、平成10年4月より浜比嘉島と津堅島の公民館で、週1回実施してきたサテライト型デイサービス事業(勝連町委託)が基盤となって始まった。離島であるがゆえの交通難や福祉サービス不足等により、島民からは本事業の拡充が待望されていたが、一方で、平成12年4月からの介護保険制度施行に向けて、これまでの委託事業から介護保険事業への転換を余儀なくされ、デイサービス事業としての採算が取れるのかどうか、経営面での不安もあった。しかし、「制度が変わったからといって、これまでサービスを受けてきた人たちを見捨てるわけにはいかない・・・」という施設長の思いから介護保険スタートに向けて、急いで空家探しに取りかかり、自己資金により庭園のある民家を借用し、増改築を行った。
 「いこいの家」の主な日課は、午前8時30分の船で職員3名が島に渡ることから始まる。利用者の迎え、健康チェック、入浴、相談、レク、昼食、談話等楽しく充実したプログラムが組まれている。午後3時過ぎに終了し、担当職員は、利用者からのしばしの別れを惜しまれつつ連絡船で帰路につく。
また、今年4月からは配色サービス事業(週5日、町委託)を始め、「いこいの家」の調理場で作られる郷土の行事食を取り入れた温かい食事は、船の欠航にも関係なく島で暮らす一人暮らしの高齢者宅に届けられることが可能になった。

 家庭的雰囲気、居心地の良い場所にこだわった家具や部屋の装飾は、利用者から「ホテルみたい」と喜ばれ、地元住民の「いこいの家」に対する関心や期待も益々高まってきており、本事業が高齢者の健康維持・介護予防などにも大きく貢献していることは確かである。
しかし、福祉サービスに対する住民の理解が深まるにつれ、次第に利用希望者が増えて部屋が狭くなってきており、実施回数を増やして欲しいとの要望も多くなっている。更なる増築や事業の拡充が求められ、その対応が当面の大きな課題となっている。


4.今後の展望
 今後は、「年を取っても、ずっと生まれた島で暮らし続けたい!」と願う島人の切実な想いに応えていくことであり、勝連町行政でも計画している「高齢者が安心して健康な明るい生活が送れる支援ハウス(小規模多機能施設)」の1日も早い実現を叶えることである。
    
 

5.今回のチャレンジに思う
 社会福祉法人与勝福祉会が積極的に取り組んでいる本事業は、離島の多い本県での特筆すべき、先駆的な優れた実践である。島で暮らし続けたい住民の願いを社会福祉法人として出来る限りの方法で、何とか叶えようとする姿勢は、一人ひとりのニーズを大切に受け止め、それぞれに合った支援を行う、福祉のあるべき姿ではないかと思う。福祉が利用契約の時代となった今、社会福祉法人は「経営」という視点と「利用者本位」という視点をバランスよく組み合わせながら、事業を展開していくことが求められている。


6.次号の紹介
 次号では、障害者が地域で自立した生活を送れるよう、障害者の「働く」ことを支える社会福祉法人名護学院の取組みを紹介する。




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福祉情報おきなわVol.93(2004.1.1)
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