今夏、車椅子で本島一周  
   田中文(あや)さん、完走

ほっとニュースTOPICS vol.128 

「夢は叶う、目標は実現できる、私が走ることでみんなに伝えたい」と、埼玉県在住の田中文さん(28歳)は、今年8月に、少しだけ動く左足を使って、車いすで沖縄本島一周することを計画し、1ヶ月かけ走行距離510キロ余りの道程を完走した。
 田中さんは、2001年、水泳のリレー中に次の泳者に上から飛び込まれ、頚部を損傷(脊髄不全損傷)。その後、リハビリを行い、少しずつスポーツインストラクターとしての仕事に復帰していくが、2005年夏頃から手足が内側に曲がり、筋肉や関節が固まる「固定ジストニア」という進行性の難病を抱え、電動車椅子での生活を余儀なくされた。現在は腹部にポ
ンプを入れ、脊髄に細いカテーテル
を通し、24時間薬を流し続ける緩和療法を行なっているが、これは筋肉の緊張を押さえるためのものであって、症状が治るわけではない。

▲真夏の太陽の下を走り続け、日焼けした田中さん

 そんな厳しい条件の中で決意した沖縄本島一周には、田中さんが理学療法士を目指して入学を希望していた専門学校が沖縄にあったことと、小・中学校での講演を重ねる中で夢がない子や夢を諦めている子どもが多いことを知り、「夢とはこうして叶えて、目標とはこうやって達成していくものだよ。そして、難病や障害を持っていても、こんな事も出来るんだよ」ということを、自らの行動で教え伝えていきたいという思いが重なってのことだという。
 

また、ゴールを目指して走る傍ら、「子どもたちに夢を持つことの大切さを伝えたい」と県内の小・中学校や専門学校にて講演を行なった。一つの夢を叶えるために走り続けながら、出会う人々の夢を聞いて集めたカードも500人を超えた。
 沖縄の猛暑の中を走り終えた今でも毎日トレーニングを欠かさず、子ども達へ自らの体験を語り、「ゴールはスタートの始まり」とする田中さんの夢への挑戦は続いている。
多くの協力者と共にゴールの瞬間を喜んだ

介護支援専門員を目指して
           1,862名が受験申込

 要支援・要介護と認定された人に対して、アセスメントに基づいたケアプランを作成し、ケアマネジメントを行なう介護支援専門員(ケアマネージャー)の実務研修受講試験が平成21年10月25日(日)、全国一斉に行なわれた。
 本県では、宮古・八重山を含む8会場にて実施。今年度は、前年度比140名増の受験申込者数となった。
 過去平均の合格率をみると、県内平均23.5%(全国平均34.0%)となっている。今年度の合格発表は、12月10日(木)午前9時より。

介護支援専門員に対し
     再研修・更新研修(実務未経験者)を実施

 平成18年4月の介護保険法の一部改正に伴い、介護支援専門員の資質の確保・向上を図るために介護支援専門員の資格更新制(5年間)、研修の義務化、体系化が図られた。
 平成17年度までに介護支援専門員として登録している者の経過措置として、昨年度より登録番号順に再研修・更新研修(実務経験未経験者)を実施しており、本年度も対象者に対し、6日間で44時間の講義及び演習が行なわれる。

 那覇空港に補助犬トイレ設置
              本格施設は全国初

 那覇空港国内線旅客ターミナルビル1階の南側駐車場横に、身体障害者補助犬専用のトイレが設置され、9月25日に同施設前で、関係者を集めての完成セレモニーが開かれました。(左写真)
 これは、那覇空港内で「こうれい者、しょうがい者観光案内所」を運営するNPO法人バリアフリーネットワーク会議が中心となり、沖縄県社協を含む県内10の団体・大学が参加する「那覇空港における『補助犬専用トイレ』要請委員会」(会長:山田親幸 沖視協会長)の要請を受け、那覇空港ビルディングが工事費約100万円をかけて整備したものです。
 補助犬用トイレは、コンクリート造の囲いの中に、砂場や給排水設備を備えたもので、空港内での本格的な設備は全国初とのことです。

補助犬もトイレが心配

 補助犬は指定された場所でしか排泄しないよう訓練されているため、フライト移動中の長時間の我慢の影響で腎臓病等を引き起こす危険性があります。そのため、空港を含む街中でのトイレ整備は、大きな課題となっています。
 身体障害者補助犬法の施行により、03年から不特定多数の人が利用する民間施設では、補助犬の受け入れ義務が課せられていますが、補助犬ユーザーが安心して外出できる環境を整備するには、受け入れ施設が補助犬のトイレについて配慮する意識の向上が求められています。

▲完成セレモニーの様子(那覇空港)

砂場、給排水設備が完備されている

第25回目を迎えるナイスハートバザール開催

 昭和61年、国庫補助事業としてスタートし、障害者の自立と社会参加を目的として行なわれるナイスハートバザールが、今年も11月21日(土)、22日(日)、イオン南風原ショッピングセンターにおいて実施される。(主催/沖縄県セルプセンター)
 第21回開催からは、琉球銀行の支援を受け、開催を継続しており、県内に150ヶ所以上ある社会就労センターや小規模作業所等で働く障害者の生産活動に対する理解と関心を高め、製品の品質向上及び販路拡大を図っていくうえでの重要な機会となっている。
 出展品は、パンやお菓子などの食
品をはじめ、花卉園芸、木工品、縫製品、小物など幅広く、出展団体の特色が現れている。商品内容等の詳細については、ブログ「ナイスハートバザール」で紹介されているので、事前にチェックして、お目当ての商品を決めてから出かけてみてはどうだろうか。

▲今年度のポスターの原画は、県立芸術大学で絵画を専攻している有馬ちなつさんと池永仁美さんが描いてくれました。

問合せ先  (財)沖縄県セルプセンター
         TEL098‐882‐5663
         http://okiselp.ti-da.net/

自閉症への関心高く
 ゲーリー・メジボフ氏講演に500名余り参加

去る8月27日に豊見城市中央公民館大ホールにおいて、講演会「自閉症を正しく理解すること〜自閉症の支援で最も大切なこと〜」が開催された。(主催/沖縄県自閉症協会、朝日新聞厚生文化事業団)
 本講演会では、自閉症の支援モデルである米国ノースカロライナ州のTEACCHプログラムの総責任者であるゲーリー・メジボフ教授と、同プログラムで中心的役割を担うセラピスト2名によって、自閉症の正しい理解の方法と適切な支援のあり方についての最新情報が分かりやすく紹介された。
 
 夏休み明けの平日で、三千円の参加費という設定に事務局としては参加者の集まりが不安だったとの事であったが、いざ開いてみると、メジボフ教授の知名度と自閉症への関心の高まりによって開会1時間前から参加者が集まり、定員をはるかに上回る盛況ぶりに驚いたという。
 自閉症の子どもを抱える家族だけでなく、学校の先生や障害児者施設の職員、保育士、一般の方など本県においても平成17年4月に施行された発達障害者支援法を受けて、徐々に関心が高まってきているとのこと。
 沖縄自閉症児者親の会(通称/まいわーるど)では、毎月第一火曜日の定例会のほか、会員をはじめ自閉症に関心のある方の参加も可能なゆんたく会(情報交換会)を月一回開催している。今後は2年後の九州大会に向けて会の活動を強化し、ボランティア養成講座を開催していきたいとのこと。

▲講演を行なうメジボフ教授(右)

▲通訳を介しての講演に真剣な参加者

問合せ先/沖縄自閉症児者親の会
         まいわーるど
        TEL098‐995‐7860、
        URL//www1.ocn.ne.jp/~autism/

エイジレス・ライフ実践者
  南風原(へーばる)舞天(ぶーてん)村田用二氏 受章 

 エイジレス・ライフとは、年齢にとらわれず自らの責任と能力において自由で生き生きとした生活を送ることである。このエイジレス・ライフ実践者に今年度、本会では方言漫談師・南風原舞天として人々を笑わせながら地域活動を行っている村田用二氏(かりゆし長寿大学校10期卒業生「十和の会」初代会長)を推薦した。
 全国から77件の推薦があったうち、47件が内閣府におかれた選考委員会の決定を受け、見事、村田氏も受章。去る10月1日、「高齢社会フォーラムin福岡」にて行なわれた授賞式に出席し、賞状と記念の楯の贈呈を受けた。

 もともと沖縄に頼れるあてがあったわけではなかったが、病状が進行することが分かっているなら、出来ることをやっていこう、チャレンジするなら今しかない!と決意し、その取り組みに迷いは無かった。電動車椅子から降りて、手動に乗り換える事から始め、約半年の間自己トレーニングを行い、走行距離を伸ばしていった。そして、県内のマスコミや福祉関係団体へ自身の思いと協力を求める手紙を送り、マスコミに紹介されたことで「何か手伝えることはありますか?」という反響があり、日々の移動や伴走等の協力者が現れ、本島一周の夢へと走り始めることが出来た。

6日、受章の報告に県社協を訪れた村田氏は、マスコミからの取材に対し、「最高です!思わぬ受章、皆様に御礼を申し上げたい。感謝です」と元気に応えた。
 一九二九年生まれの村田氏は、現在満80歳。
 闘病中の妻の介護を通じて、「笑いは万病の薬」との確信を抱き、沖縄方言による漫談に取り組んでこられ、「ちょーぎん(冗談)すると、妻がとても喜ぶから」と、平成15年に県内お笑い芸人の選手権大会に出場し、奨励賞を受賞。以後、各種団体、学校等で漫談講演活動を行い好評を博している。

楽しく長生きする秘訣は、ボケの4か条            
一、ヤーグマイ(家に閉じこもる)、
二、ドゥシンウラン(友達がいない)、
三、シュミンネーラン(趣味がない)、
四、アリンカマン、クリンカマン(あれも食べない、これも食べない)
を実践しない!この4か条と正反対の暮らしをすることだと村田氏は言う。そうすれば、ピンピンコロリ!間違いなしとのことだ。

▲受章の喜びを報告に来局
(左より)新垣会長、村田用二氏
▲大きな赤い蝶ネクタイと付けひげの白衣姿で“へーばるぶ−てん”に変身!

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福祉情報おきなわVol.128(2009.11.1)
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