福祉情報おきなわVol.126(2009.7.1) |
編集発行 沖縄県社会福祉協議会 沖縄県共同募金会 沖縄県福祉人材センター 沖縄県民生委員児童委員協議会 〒903-8603 那覇市首里石嶺町4-373-1 TEL098(887)2000 FAX098(887)2024 |
運営適正化委員会は、社会福祉法第83条により、沖縄県社協に設置され、「福祉サービスの利用援助事業の適正な運営の確保、福祉サービスに関する利用者等からの苦情の適切な解決」という二つの事業を実施しています。本委員会には、社会福祉や法律、医療等の学識経験者で構成する委員が配置されており、公正・中立な立場で苦情を解決する「第三者機関」となっています。
本委員会は、サービス提供現場等において、当事者同士による解決が困難な場合や直接、事業所に申し出にくい相談等に対応します。対象となる福祉サービスは、第一種・第二種社会福祉事業が主ですが、対象外の相談内容によっては、他の専門相談機関を紹介します。なお、虐待等のおそれがある場合は、速やかに県知事に通知することになっています。
制度発足から10年目を迎えた本事業の経過や平成20年度の事業報告概要を紹介します。
平成20年度の本委員会での苦情受付件数は41件(前年度より1件減少)です。その内訳の分野別では、障害福祉分野が22件(53.6%)で増えてきており、次に老人福祉分野が10件(24.4%)となっています。これは、障害者の支援費制度から自立支援法への移行に伴う事業者側の対応への戸惑いや利用者・家族の理解不足や不満等が要因と思われます。苦情内容別(円グラフ参照)では、サービス内容(職員の接遇)が17件(41.5%)と多く、次は説明・情報提供が8件(19.5%)、サービスの質や量が5件(12.2%)となっています。これは、サービスの利用契約時の説明不足や利用者・家族のサービスの質や量への要望が高まってきていること等が要因と思われます。
苦情の申出人の状況では、家族が16件(39.0%)で、利用者が13件(31.7%)、職員からは7件(17.0%)となっています。受付方法では、電話が32件(78.0%)と多く、来所は5件(12.2%)、手紙やメールが4件(9.7%)となっています。
その他の相談(対象外)が166件と大幅に増えていますが、その内訳は、障害関係が42件(25.3%)、老人関係28件(16.9%)、児童関係25件【15.1%)で、苦情受付件数と同様に障害関係が増えています。なお、その他が71件(42.8%)と多いのは、各福祉施設や事業所側からの苦情解決の仕組みへの相談や掲示用ポスターや専門相談先の問合せ等が主なものです。
次に、本委員会が発足した平成12年度から平成20年度までの9年間の苦情受付件数は、延べ360件で、苦情に至らない「その他の相談」は、延べ814件となっています。
年度別の推移(棒グラフ参照)を見ると、平成17年度と18年度が60件と高くなっており、ここ2年間は42件、41件と減少しています。その要因としては、各事業所段階での苦情解決システムが整備されてきており、現場での対応が充実してきていることなどが考えられます。
その他の相談件数が大幅な増加傾向にありますが、その要因としては、長引く景気の低迷による失業者や生活困窮者の増大、急速な少子・高齢社会の進行による児童・老人・障害児者・母子・年金・医療・雇用等の社会保障や社会福祉制度、福祉サービス等への県民の不安や不満等が表出してきたことも一因として想定されます。
福祉サービスに関する意見・要望、苦情は、まずは、各福祉施設・事業所の苦情受付窓口または、各施設等の「第三者委員」へご相談ください。
運営適正化委員会の窓口開設時間は、月~金曜(年末年始、祝祭日、慰霊の日等を除く)午前9時から午後5時までとなっています。
電話098(882)5704。