県社協関連事業2 「市町村社協常務理事・事務局長会議」報告

 

h27joumu沖縄県社協では、1月27日に県総合福祉センターにおいて「市町村社協常務理事・事務局長会議」を開催した。この会議は、市町村社協が直面する課題への対応について情報共有することを目的に毎年開催されているもので、今年は「社会的孤立の解消・防止に向けて~足元から広げる社協活動の可能性~」をテーマに協議した。

はじめに、秋田県・藤里町社会福祉協議会の菊池まゆみ会長が「ひきこもり支援から見た地域福祉の可能性」と題した基調講演を行った。藤里町社協では、「福祉でまちづくり」を合言葉に「地域福祉トータルケア推進事業」を実施している。その一環で平成22年度からひきこもりや就職できていない若者を対象とした「こみっと」事業を立ち上げ、支援に乗り出している。講演では、単に相談に乗るだけでなく、若者の居場所や役割を用意することで、本人が持つ力を発揮してもらい、自立につなげようとする試みが紹介された。また、社協のみで抱え込むのではなく、地域を巻き込みながら、「支援する人」「支援される人」という関係性を超えて、誰もが輝ける地域社会の創生に取り組む活動が紹介された。

菊池会長は、「支援の対象を『ひきこもり』に限定してしまわないことが重要」と強調したうえで、「地域の社会資源をつなげるのが社協の得意分野、福祉職ならではの支援があるはず」と訴えた。

午後のシンポジウムでは、南風原町社協、糸満市社協、NPO法人沖縄青少年自立援助センターちゅらゆい の3つの実践発表から「社会的孤立の解消・防止に向けた支援体制をどう築くか」というテーマを掘り下げ、活発な議論が交わされた。

南風原町社協からは、大量に物をため込んで片付けができない世帯への支援を通しての事例紹介があり、単に片付けを行うのではなく、地域とのつながりを作るために近隣住民の協力で片付けを行った例が報告された。

糸満市社協からは、生活困窮者自立支援制度に基づく相談事業の実施について報告があり、「社協らしい事業展開」として社協の専門職との同行支援、フードバンク事業などの社協既存事業との連携について事例が紹介された。

NPO法人ちゅらゆいからは、県内の若者のひきこもりや不登校、子どもの貧困などの現状が報告され、NPOが運営する拠点「kukulu」(くくる)の実践例が紹介された。

また、平成28年度に向けた地域福祉部関連事業についての説明等が行われた。

参加者からは「ひきこもりの若者をまちづくりに生かすという視点に驚いた。参考にしたい」、「ひきこもりや子どもの貧困について理解が深まった」といった感想がアンケートに寄せられた。

沖縄県社協では今年度から社会的孤立の解消・防止に向け取り組んでいるが、今回の会議の成果を踏まえ、さらなる事業推進を図る考えである。