取材レポート
 
地域でふれあい・支え合い
 障害者支援事業所ほほ笑み
―うるま市勝連―


 
うるま市勝連に去年10月オープンした「ほほ笑み」(有限会社「ほほ笑み」長浜正昭代表)では、障害者の就業支援事業所として、現在7名の障害者を雇用している。
 また、「ほほ笑み」では障害者の就業支援事業とあわせて、施設内で高齢者のミニ・デイサービスを週3回(月・水・金)行っている。1日平均7名程度の方が利用し、職員と一緒にお昼を食べたり、手工芸やマッサージ等のサービスを受けている。


高齢者が集える場
      障害者の雇用の場

写真・高齢者ミニデイの様子
▲高齢者ミニデイの様子
 代表者の長浜正昭氏は、昨年10月うるま市議員を勇退した後、これからは何か地域に貢献したいとの思いが強く、活動を始めたが、地域で行き場のない高齢者の集える場所を作ろうとしたとき、ボランティアだけでは限度があり、運営を賄うための資金として「惣菜」作りを考え、それならばと地域にいる障害者を雇用することを思いついた。
 「ほほ笑み」という名称は長浜代表の奥さんで、「特別養護老人ホーム与勝の里」の施設長でもある君子さんが付けた。介護保険制度が始まった当初、元気なお年寄りがデイサービスに来れなくなったのをきっかけに結成されたボランティアグループの名称から取ったもので、今もその時のメンバーがボランティアとして頑張っている。


「ほほ笑み」の活動

 
施設の周りにはハーブや花が植えられ、屋外に出ると左手には勝連城跡が展望できる。そして道向かいに広がる畑の一角で職員が出荷間近のインゲンを忙しそうに収穫していた。
 職員は水・土・日が休みで、朝9時から夕方4時まで働いている。男性4名が園芸を、女性3名は惣菜づくりを担当し、日々頑張っている。
「ほほ笑み」では、障害者を雇用するにあたり、ハローワークから1人当たり月5万円の「トライアル助成金(試行雇用奨励金)」を受け活動してきたが、2月からは助成が終了することになっている。職員への報酬は最低賃金(610円)が基準となっているが、現在の事業所の収入では出勤日数や時間を減らさないと運営できない現実もあり、大変厳しい状況となっている。長浜代表は、「給料日が来なければ毎日が楽しい」と笑って話してくれた。
写真・インゲンの収穫風景
▲インゲンの収穫風景

家族全員で関わってきて

 
長浜代表は3期12年続けた議員生活から、代表者兼作業所指導員をやってきた。一番良かったと感じたことは「家族全員で関われたこと」と話す。「これまでは家庭内でも共通の話題がなかったのが、事業所を立ち上げることによって、それぞれの視点が1つになり、課題や苦労をお互いの立場で話し合いができるのが良かった。」と振り返った。

驚かされた職員の変化

 
また、家に引きこもって買い物にも行かなかった職員が、仕事が終わり、同僚2人で自分達の参考になるということで、中部農林高校まで園芸を見に行ってしまい、時間になっても帰ってこないので家族が心配して連絡してきたことも。あとで本人達に話を聞くと、「色々な野菜を作っているから見に行った。」と言い、これには家族をはじめ、長浜さんも驚かされた。
 さらに、職場帰りに販売機で飲み物を自分で買う等、今まで親が代わりにやっていたことを自分で考えて出来るようになって来た。これは、お金では買えない大きな変化だという。

 
地域で支え合う拠点作りを
今後は、職員が野菜を栽培して収穫し、それを高齢者が選別するというように協働で作業をしたい考えだ。また、作業所で作った惣菜やお菓子等を施設や団地、役所へ持って行って、販売を通して地域とのかかわりが持てるように販売車も準備していきたいとのこと。
 最後に「地域で支え合う、『ほほ笑み』のような施設が各字に出来れば、高齢者や障害者が地域で安心して暮らすことができ、明るい楽しい地域社会を作れるようになる。これが夢。制度を利用しなくても障害者の方を支え合える拠点作りを目指していきたい。」と長浜代表の話は熱かった。



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福祉情報おきなわVol.112(2007.3.1)
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