第1 基 本 方 針
 今日、我が国の社会福祉は、利用者本位の福祉サービス、個人の尊厳の尊重等を基本理念に掲げ、サービスの選択による利用のシステムと利用者保護の実現、地域ケアシステムの確立、住民参加を軸とする福祉文化の形成など、地域を基盤とした福祉の充実を基本的方向として進めている。そのような中で、地域福祉の推進主体としての社会福祉協議会の役割は、一層の広がりと強化が求められている。
 一方、昨今の地域をとりまく状況は、児童虐待等の家庭内暴力、様々な悪徳商法や詐欺による消費者被害、多重債務問題などが顕在化している。その矛先は、子どもや高齢者、障害者、生活困窮世帯など、社会的に弱い立場にある人々に向けられることが多く、誰もが、地域で安全に安心して暮らしていくためには、行政、民間及び住民主体の取組を通じて地域福祉の基盤整備を積極的に図る必要がある。
 このような社会情勢をふまえ、本会では、平成18年度からスタートした「第2次沖縄県社会福祉協議会21プラン」に基づき、市町村社協や福祉施設団体、さらにボランティア・NPO活動等との連携の強化を図るとともに、判断能力が不十分な人々の権利擁護、低所得世帯等への支援を広げているところであり、平成19年度は、本プランの着実な推進を通して安心・安全・福祉のまちづくりの実現を目指し、以下の事業を重点に取り組むこととする。

1 市町村社協活動等の支援
市町村社協それぞれの課題に対して個別的・具体的な支援を強化するため、各種調査や市町村社協の評価・経営診断等に基づく経営戦略の提供を行い、適正な法人運営の支援に努める。
地域の福祉ニーズに即して、市町村社協が目指すべき理念と基本方向に沿った地域福祉活動を展開するため、体系的な研修や情報提供によって役員及び事務局職員の意識啓発と資質の向上を進める。
離島等の小規模社協が地域特性に応じた福祉活動を展開できるよう、地域の特性に即した支援を強化する。
県民児協の組織強化を支援していくとともに、市町村社協における民生委員児童委員活動との連携の強化を図る。


2 県民参加による福祉社会の形成
県内ボランティア活動の中核的な推進拠点としてボランティア・市民活動支援センターの整備を図るとともに、相談支援及び連絡調整機能の強化を図る。
全市町村社協においてボランティアセンターの設置又は機能充実を促進する。
福祉施設、ボランティア団体・NPO、企業等のボランティアコーディネータやリーダーの育成に努める。
児童・生徒及び大学生等が、ボランティア活動や体験学習を通して、社会を形成する一員としての意識高揚を図るよう支援する。
勤労者のボランティア活動への参加の促進を図るとともに、企業の社会貢献活動の啓発・促進を図る。
県民に対して、地域社会を構成する市民としての自立と連帯の意識を喚起し、県民及びあらゆる関係者による福祉文化の共通理解の形成と、幅広い活動を推進する。


3 社会福祉施設・団体への支援
種別協議会活動の活性化による自主運営を促進するとともに、緊密な連携を保ちながら、福祉課題の共有化と課題解決に向けての連絡調整や協働事業を推進する。
各種別協議会と協働して、社会福祉法人(福祉施設)の経営や福祉サービス等に関する情報提供、研修事業の企画運営、調査・研究、政策提言活動等を強化する。
「福祉サービス利用者の利益保護」、「社会福祉事業の公明・適正な実施の確保」等、社会福祉法人及び施設の資質向上と経営改善を図るための経営支援事業を推進する。
社会福祉法人が自ら組織体質の改革を行い、自律的な経営を確立していくことを支援するため、経営改善支援事業の普及・促進を図る。
社会福祉振興基金等の効率的な運用を行うとともに、適正で公平な助成による民間福祉団体の活動支援に努める。


4 社会福祉従事者の資質の向上と研修
福祉人材研修センターの受託研修や福祉施設種別協議会の独自研修等について、各組織の機能分担を考慮に入れながら、総合企画委員会において整理された研修体系に沿って研修を進める。
福祉の「職場研修」を推進するため、インストラクターの養成を図る。
公募採用への理解を深め、求人開拓を強化するとともに、質の高い福祉人材を確保するため、福祉専門職能団体や養成校等との連携を強化し、有資格者の求職登録を促進する。
福祉の職場に優秀な人材が定着するよう、職員処遇の向上と福利厚生の充実のため福利厚生センター(ソウェルクラブ)への加入等を促進する。また、福祉職場にふさわしい人事管理制度の推進等、社会福祉事業経営者への支援を強化する。


5 県民への福祉サ-ビス事業の推進
低所得者、障害者及び高齢者の経済的自立と生活意欲の助長促進のため、市町村社協・民児協と連携し、相談から生活福祉資金の貸付、さらに生活支援までの仕組みの強化を図る。
生活福祉資金の貸付から償還完了まで一貫した支援を図るため、県社協、市町村社協及び民生委員の連携により償還指導を強める。また、償還能力その他の状況を十分に勘案し償還猶予、償還免除の活用を行い、必要な場合は法的措置を含めて償還を進める。
県民及び福祉関係者の相談ニーズへの効率的な対応を図るとともに、県内の福祉・保健・医療その他生活全般に関わる相談機関とのネットワークを活用した総合相談センターとしての機能の充実を図る。
「高齢社会は県民全体で支えるもの」という考え方を広く地域住民に啓発するため、介護知識、介護技術の普及と啓発を図る。
介護サービス利用者が事業所を適切に選ぶための情報を提供する指定情報公表センターと指定調査機関を運営し、介護サービスの質の確保と向上の支援に努める。また、認知症高齢者グループホーム外部評価事業の推進や福祉サービス第三者評価事業の啓発普及に努める。
活力ある高齢社会を実現する上で、高齢者の生きがいと健康づくりを推進するために、県民の意識の高揚を図る。また、個人の生きがいと健康づくりが効果的に進められるよう、体力の保持増進を図り、高齢者の親しみやすいスポーツ・レクリエーション活動普及に努める。
多様化する高齢者の学習ニーズに対応するため、各種講座等の充実を図るとともに、学習情報の提供など学習環境の整備に努める。
高齢者及びその家族等の抱える保健、福祉、医療等に係る各種の心配ごと、悩みごとに対する相談に応じるとともに、市町村の相談体制を支援することにより、高齢者及びその家族等の福祉の増進を図る。
高齢者の就業機会を確保するため、高齢者無料職業紹介所の運営や、シルバー人材センター等との連携に努める。


6 利用者の立場に立った福祉基盤づくり
福祉サービス利用援助事業に対する県内の潜在的な需要を喚起するため、市町村社協や当事者組織など関係団体への周知を図る。
各市町村社協で住民の権利擁護活動が推進できるよう、地域福祉権利擁護推進員の設置促進及び生活支援員の確保・養成を進める。
運営適正化委員会においては、苦情解決事業の県民、利用者等への周知に努めるとともに、事業者段階で解決できない苦情に対し、迅速かつ適切な対応をすることにより、福祉サービスの利用者の権利擁護が図れるよう事業を推進する。また、運営監視部会においては、地域福祉権利擁護事業の適正な運営を確保するために、運営監視を強化する。
県民の生活福祉の向上を図るため、調査研究、連絡調整といった固有の機能を活かして、各種福祉施策の充実を目指した提言活動を展開する。


7 情報、企画活動の充実
新たな福祉活動の開発や政策提言につなげていくための調査研究の取組を進める。
第2次沖縄県社会福祉協議会21プラン推進評価委員会において、事業目標に照らした達成度や費用対効果に関する評価分析を行い、事業の改善や見直し、スクラップ&ビルド等を進める。
福祉課題や先駆的な取組が必要な事案は、プロジェクトチームを設置し、調査研究等を進める。
広報誌、ホームページ及び福祉情報ライブラリーの整備充実を図り、県民や福祉関係者に対する情報提供活動を積極的に進める。


8 県社協の経営基盤強化
事業規模に応じた適切な財務管理と財務体質等の強化を図り、事業の適正かつ安定的な運営に努める。
組織運営の透明性を高め、県民に対する県社協の負託責任を明確にしていくため、事業や財務諸表等の機関紙、ホームページへの掲載等により、積極的な開示を進める。
県社協は地域福祉の推進役として、今後ますます公共的な役割を期待されていることから、人件費及び事務費については公的補助の確保に努める。
公共性の高い事業については公的補助あるいは受託事業の採択に努め、公的財源の確保により事業を積極的に推進する。
会員の拡充と会費の見直しによる会費収入の増額、各種大会・研修会参加費等からの収入の確保、福祉保険広告料の増額確保及び積立金の増額と効果的な運用による預金利息の増額確保などに積極的に取り組むとともに、チャリティ収益金、図書頒布手数料等の事業収入の維持確保を図りつつ、収入財源の多角化を図る。
本会を取り巻く情勢に的確に対応できる事務局体制の確立を図り、また、多様な雇用形態を活用し、人材システムの効率化を進めるとともに、業務効率化のためのコンピューターシステムを積極的に整備する。
事務局職員全体が県社協の使命を十分に認識するとともに、新たな社会福祉の理念に則した意識改革を進め、さらに、高度な専門知識と技術の習得を図るべく職場内研修の充実、各種研修会参加及び資格取得の支援を図る。
沖縄県総合福祉センターの指定管理者として、福祉活動の総合的拠点施設としてのセンター機能を十分に活かし、県民の福祉の向上、民間福祉団体活動等の発展に努める。

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