県民児協広報情報誌 ふ く ら し ゃ 第5号


年頭あいさつ~新任民生委員・児童委員の皆様へ

  住民の立場に立ち、新時代に対応する


沖縄県民生委員・児童委員協議会 会長 上間幸弘

 あけましておめでとうございます。
 民生委員・児童委員の皆様には、ご健勝にて平成17年の新春を迎えられましたことと、心からのお慶び申し上げます。
 さて、わが国は急速に少子・高齢化や核家族化が進展する状況の中、人びとの社会福祉に対する期待もますます高まり、子育て支援や介護支援などの施策が図られてきています。
ご承知のとおり、先の民生委員法の改正で民生委員は「住民の立場に立って相談に応じ、必要な援助を行う」とされ、私たちの活動も住民の方々の思いを大切にしながら取り組んでいくことが重要となっております。
 また、現在、市町村地域福祉計画策定の取り組みが始まっておりますが、計画策定委員のメンバーや地域福祉活動の担い手として、民生委員・児童委員には大きな期待が寄せられています。
 これからの地域福祉を進めるにあたって大切なことは、地域社会に暮らす人々が、互いに思いやり、共に支え合い、助け合う街づくりを進めていくことにあります。
 社会・経済状況が大きく変化し、失業を背景とした生活問題、児童虐待やDVの問題、さらにはホームレスの問題など、人びとが抱える問題は複雑・多様化し、地域からの孤立や孤独の配慮や社会的つながりが希薄化していると言われる中、今日的な社会とのつながりを地域社会につくり出していくことが、民生委員・児童委員、そして、民児協の大きな役割であると思います。
 あらためて、住民の立場に立つということの意義や民生委員・児童委員に求められる今日的な役割について、私たち自らが考え、新しい時代に対応すべく活動と組織の改革を進め、民生委員・児童委員がお互いに研鑚を深めていくことが大切であります。
 今後は、県内全委員のお力とお知恵を結集して、組織の充実・強化に資することは無論、地域における人と人とのつながりを築き、誰もが住み慣れた地域で安心して自立した生活がおくれる社会の実現に向けて努力してまいりたいと存じますので、なお一層のご支援、ご協力をお願い申し上げます。




民生委員児童委員大会を開催 419名・3団体を表彰

 去る11月19日に沖縄市で「子育て支援のために、第二次アクションプランを推進しよう」「地域における生活課題の解決策を、住民と共に築き行動しよう」をスローガンに第25回沖縄県民生委員児童委員大会が開催されました。大会には会員並びに関係者1500名余が参加しました。
 今大会では、全国民生委員児童委員連合会長、九州社会福祉協議会連合会長、沖縄県民生委員児童委員大会長の伝達表彰並びに表彰の授与が行なわれ、419名・3団体が受賞しました。
 


記念講演・大熊氏「自分らしい人生への支援を」

 記念講演では、大熊由紀子氏が「誇り・ぬくもり・輝き~これからの福祉と民生委員さんの挑戦~」と題し、ノーマライゼーション思想の源流と広がりについて講演しました。
 講演では講師の著書『「寝たきり老人」のいる国いない国』より、「寝たきり老人は、寝かせきりにされたお年寄り」「抑制とは、縛ること」と日本の福祉観へ一石を投じ、政府の「寝たきり老人ゼロ作戦」「身体拘束ゼロ作戦」「ホームヘルパー十万人計画」のきかっけをつくったことが、ユーモアや事例を交えて紹介されました。
 また、「民生委員さんの挑戦」と銘打ち、民生委員児童委員の役割について講演しました。地域住民にもっとも身近な支援者である民生委員児童委員が、誰もが人生の中で誇りやぬくもりを持ち、自分らしく輝くことのできる人生を送れるよう支援するという意識を持ち、活動を展開していただきたいと強調。今後の民生委員児童委員としてのあるべき姿を示唆いただきました。



民生委員・児童委員活動の7つのはたらき
新任の民生委員・児童委員の皆様が、活動にあたる心構えとして次のようにまとめました。

1.社会調査のはたらき
 担当地区内の住民の実態や福祉ニーズを日常的に把握する。
 民生委員は、その担当地域内の実情を把握することにより、地域住民に対して適切に相談・支援を行える体制を整える必要がある、住民の生活状況を日頃から全般的に把握するとともに、個別の援助が必要な人については、援助に必要とする情報を収集して、福祉票などの整備をしておかなければならない。このような社会調査に基づく資料が、生活保護の申請だけでなく今後の民生委員活動の基礎となるものであり、日頃より地域のおける調査を心がけておかなければならない。

2.相談のはたらき
 地域住民が抱える問題について、常に相手の立場に立ち親身になって相談にのる。
 民生委員が行う相談・援助活動の対象者は、公的施策による福祉の措置を必要とする人のほか、地域福祉の観点に立って行われる民間福祉活動の対象者を含み、さらに物的援助のみならず、精神的な援助を必要とする人も広い意味で含みます。
 様々な援助を必要とする人々に対して、各人の能力に応じて自立した日常生活が送れるよう,民間奉仕者としての立場で,相談・助言等の援助を行うことを民生委員の職務としています。

3.情報提供のはたらき
 社会福祉の制度やサービスについて、その内容や情報を住民に的確に提供する。
 福祉サービスの利用援助では、援助を必要とする人の意向に出来る限り沿った福祉サービスが利用できるよう民生委員が情報提供等の援助を行う。また、介護保険制度では既に契約によるサービス利用となっていますが、平成15年4月から障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービスを提供することを基本とした利用制度である支援費制度が創設され、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、児童福祉法(障害者関係者のみ)にもとづく施設入所や在宅サービスの多くが措置制度から支援費制度に変わりました。
 利用者制度下では、利用者が自ら事業者を選ぶことが出来るようになりますので、事業者は他の事業者との差別化を図るため、多様な内容のサービスを提供する傾向にあります。それぞれの事業者が提供するサービスの内容を把握し、その情報を利用者に適切に伝え、利用者の納得がいく事業者選択を支援することも民生委員の重要な職務となります。

4.連絡通報のはたらき
 地域住民が、個々の福祉ニーズに応じた福祉サービスが得られるよう関係行政機関、施設、団体等に連絡し、必要な対応を促すパイプの役割をつとめる。
 地域住民からの相談内容に応じた関係機関へ連絡し、相談内容に必要な対応を依頼しましょう。

5.調整のはたらき
 地域住民の福祉ニーズに対応した適切なサービスの提供が図られるように支援する。
 介護保険制度にはない通院の送迎やふとんの洗濯・乾燥などの需要に対し、このようなサービスが提供されるよう社会福祉協議会の事業や地域において利用できるボランティア活動利用の調整をしましょう。

6.生活支援のはたらき
 地域住民の求める生活支援活動を自ら行い、支援体制をつくっていきます。
 民生委員は関係機関、地域住民と連携して要援護者を支援する体制をつくるため、日頃から地域住民や福祉関係者に働きかけていくことが求められている。さらに地域の住民自らが福祉活動に積極的に参加するよう働きかけ、ボランティアによる支援グループを発掘し、育成、推進していきましょう。

7.意見具申のはたらき
 活動を通じて得た問題点や改善策についてとりまとめ、必要に応じて民児協をとおして関係機関などに意見を提起します。
 地域住民の福祉ニーズとそれに対応する施策、サービスとの開きがすくなくない現状にあり、住民の立場から社会保障、社会福祉の実施運用について、実態と具体的資料にもとづく改善整備のための建設的な意見を住民としてまとめ、適宜所轄する自治体、実施機関に対して文書をもって提供し、その実現を促す。



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福祉情報おきなわVol.99(2005.1.4)
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