特集  わたし発 施設発 地域発 
           ~「気づきを築くユニットケア全国実践者セミナーin沖縄」を終えて~

 今年1月17日(土)~18日(日)の両日、沖縄コンベンションセンターを主会場に、全国の特別養護老人ホーム等介護保健施設の役職員約1,000名余が参加して、「気づきを築くユニットケア全国実践者セミナーin沖縄」が開催されました。
 ユニットケアは、画一的で流れ作業的なケアから脱却し、宅老所やグループホームのような、より家庭的で馴染みのある関係づくりを目指していこうとするケアの一方法として提唱されたものです。今回で3回目の開催となる実践者セミナーでは、ケアのあり方やスタッフの育成、経営の方向などの様々な課題を抱えている実践者同士が課題の共有化と解決に向けて、多くの実践報告をもとに活発な議論が交わされました。

<本セミナーのねらいと沖縄県開催の意義>
 今回、実践報告リレーには、過去最高となる114施設(県内からは5施設)の参加がありました。また、実践者セミナー初の試みとしてポスターセッションを企画したところ、11施設(県内1施設)が発表しました。これまでの自分たちの活動を伝えたい発表者と、いい取り組みは自分たちの施設でも取り入れていきたいとする聞き手との情報交換が活発に行われました。
この実践報告リレーは、全国各地で点在するユニットケアの取り組みを広げていくだけでなく、報告することを通して、施設自体でサービスの質の改善に向けた取り組みの動機付けとなり、また評価を受けたりすることで現場職員の自信にもつながると言われています。
本県はユニットケアの先進地ではありません。しかし、本セミナー開催を契機に、実践の成果をぜひ県内すべての施設に伝え、実践のきっかけを創りたかったと同時に、老朽施設の改修・改築や離島における高齢者の生活支援などの地域特性を踏まえ、今後の施設機能のあり方について、県内関係者の意識啓発を図り、全国へ問題提起、発信していく事がねらいとしてありました。



<ユニットケアの目指すもの・セッション編>
 今回、沖縄県の地域特性をもとに、このねらいを形に表わしたのが「沖縄発!!特別セッション」でした。保良昌徳氏(沖縄国際大学教授)のコーディネートのもと、「地域における暮らしを支える仕組みづくりのために何が必要か」というテーマに沿って各パネラー及びサポーターから報告がありました。
 パネラーの有銘政勇氏(県長寿社会対策室長)からは、これからの沖縄県における高齢者施策の考え方について報告があり、保多盛信旦氏(波照間島ワーキンググループ会議委員長)からは「離島・過疎地域支援事業」の先駆的モデルとして地域住民主体・参画による地域生活支援の実践について、長浜君子氏(特養与勝の里施設長)からは、離島における高齢者の生活支援を図るため、地域住民の当事者意識を大切にした施設機能の展開についての報告がありました。
また、老人福祉という分野を越えて、障害者の円滑な地域生活移行を図るため、教育・企業・保健医療関係者とネットワークを構築している実践報告が崎濱秀政氏(障害者就業・生活支援センター所長)からあり、当事者が住み慣れた地域で暮らしていくための支援のあり方について、各パネラーからの多角的な意見が出されました。
さらに本県からの報告に加え、サポーターとして武田典和氏(特養・老健・医療施設ユニットケア研究会代表)からは、ユニットケアの目指す先に地域での暮らしがあり、ユニットケアが介護の単なる一方法からコミュニティケアにつながっていくことが説明されました。
 

<これからにつなげるもの>
ユニットケアの実践が、ここまで発展を遂げてきたのは、たくさんの現場職員の勇気ある行動と多くの気づきの積み重ねにほかなりません。しかし、これからも発展・進化し続けていくためには、ユニットケアの目指すべき方向性を理解していく事が必要だといわれています。
そのためにも、施設・職員自らが推し進めていく「わたし発 施設発」に加え、新に「地域発」という概念を取り入れ、当事者主体を意識した実践につなげて欲しいという願いを込め、「わたし発 施設発 地域発」というテーマが今回、設定されていました。
このセミナーを通し参加者は、これから入所施設がさまざまな方法により地域社会と接点を持ち、地域福祉や地域づくりに関わるなかで、地域住民や当事者の主体性をどのように導き出し、参画してもらうのか等の問題提起を受けました。これ対して、各施設がそれぞれ地域でどのように考え、受け止め、取り組むのか。ユニットケアの実践が、地域を巻き込んだ面の広がりになっている未来図を描きながらセミナー参加施設に期待を寄せたいと思います。



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福祉情報おきなわVol.94(2004.3.25)
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