僕ら小さなクリーン隊!
愛の泉保育園・愛の泉クリーン隊(沖縄市高原)

 
 沖縄市高原地区は、近年宅地整備が進み、人口が増加している地域である。
 同地区にある愛の泉保育園(金城キヨ子園長)は、園内外の緑化活動を積極的に行っている保育園の一つ。そして緑化活動以外にも、園児たちを中心に「愛の泉クリーン隊」を結成し、地域を巻き込んだ美化活動に取り組んでいる。ここでは、保育園児らが取り組んだ地域活動の好事例を紹介する。



 小さな手にゴミ袋を携えて~大勢のボランティアが参加

▲ゴミ袋を手に一生懸命ゴミを探す園児たち
▲ゴミ袋を手に一生懸命ゴミを探す園児たち
 愛の泉保育園では「花を通じて優しい心を育てたい」というテーマを掲げ、園内外の花いっぱい活動に取り組んでいる。園庭は季節の花々で彩られ、訪れる者の心を癒している。
 この保育園では緑化活動のほかにも、園児たちを中心に「愛の泉クリーン隊」を結成し、保育園周辺で空き缶やゴミを拾う清掃活動に積極的に取り組んでいる。
 清掃活動は年5~6回、土曜日の10時~11時の時間帯に行われる。参加者を幅広く募るため、近隣住民にもチラシを配布して参加を呼びかけている。そのため、クリーン隊には保育園の園児や保護者、卒園児童、その他地域住民のボランティアが集まり、多い時で総勢100名が活動に参加する。
 清掃活動を行うのは、園周辺の公園や道路などが中心で、園児たちは小さな手にゴミ袋を携え、約1時間かけて空き缶などのゴミ拾いを行う。
 清掃活動は屋内で行われるだけに、道路交通や参加者の体調管理には特に気を使っている。地域へのPR効果と子どもたちの安全を考えて、腕章、のぼり(旗)、軍手といった備品を用意し、列を組んで清掃に当たっている。なお、こうした備品等については園の特別保育事業の予算でまかなっており、継続的な活動のための大きな財源となっている。
 また、昨年からはアルミ缶などの資源ゴミをリサイクル業者に引き渡し、貯まった収益金を市内の動物園(沖縄こどもの国)へ寄付するなどの活動も行っている。
 

 きっかけは「まちをキレイにしよう」
 
▲一年中、季節の花々が咲き誇る園庭は園児の自慢、地域の宝となっている。
▲一年中、季節の花々が咲き誇る園庭は園児の自慢、地域の宝となっている。
 活動を始めたのは、10年ほど前。金城園長が職務会に「まちをキレイにしよう」と提案したのがきっかけ。その後、子どもたちや保護者と検討を重ねながら、活動をスタートさせた。
 その後、地域の協力を得ながら活動は継続し、現在に至っている。「クリーン隊」の活動日以外の園外保育活動の際にもゴミ拾いを行うなど、花いっぱい運動も含め、環境美化に努める保育園の活動はすっかり地域に定着している。

   




 地域とのつながりを大切にしているからこそ、協力も生まれる
  
 
愛の泉保育園は沖縄市子ども会育成連絡会に加盟し、地域の行事などに積極的に参加・協力している。
 こうした地域とのつながりをもとに、クリーン隊の活動にも多くの関係機関や地域住民が関わっている。
 例えば、市の環境課ではゴミ袋の無償提供やゴミ回収の支援を行っている。活動を始めた当初は、集めたゴミを一旦園に持ち帰って回収に出さなくてはならなかったが、現在では活動場所の公園へ回収車を手配できるようになった。
 園の周辺には学童クラブや小学校があり、子どもたちや住民が集まりやすい環境となっている。こうした立地条件も手伝って、愛の泉保育園では日常的な地域連携が可能となっている。


  親子で参加できるボランティア活動の機会として 

▲大勢のボランティアが力をひとつに。環境への意識も高まっている。
▲大勢のボランティアが力をひとつに。環境への意識も高まっている。
 先述したとおり、クリーン隊の活動には園児だけでなく、保護者や地域住民など多くのボランティアが参加する。
 清掃活動に参加した園児の保護者からは「子どもと一緒に、社会のために良いことができるなら」と賛同の声が寄せられている。
 また、周辺の地域住民からは「まちがキレイになった」と感謝の声が届けられている。
 清掃活動に参加したり、清掃する子どもたちの姿を見た保護者や周りの大人たちも環境に対する意識が高まるなど波及効果も生まれている。


不法投棄の問題も
 
 クリーン隊の美化活動を行う中で、子どもたちは色んなゴミを見つけてくる。「われ先に」と空き缶やゴミを拾う姿は微笑ましい。しかし、子どもたちが色んなゴミを見つけてくる中で、粗大ゴミを引っぱりだすこともしばしば。活動については周りの支援のおかげで概ね順調に継続できているとのことだが、こうした不法投棄については「地域が抱える課題」として、解決に向けたさらなる連携が求められる。


 活動内容を充実させ、地域のお手本に

 クリーン隊では毎年、市が主催する「目抜き通り清掃」という地域活動にも参加している。「地域活動の一環としてこれからも活動を継続していきたい」と金城園長は話す。また、子どもたちの活動の様子を記録することにも手間を惜しまない。「活動回数を増やすのではなく、活動の内容を充実させていきたい。これから、他の地域での活動のお手本になれば。」と今後の展望を語ってくれた。
 地域活動はアイデア次第で子どもからお年寄りまで誰でも参加することができる。この事例は他の地域においても大いに参考になる実践事例であろう。



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