地域包括と在宅介護、二つの支援センターに求められる連携

~現状調査によりみえてきたもの~


 今、各市町村には「地域包括支援センター」が設置されています。同センターは、地域において「総合的」なケアマネジメントを行う機関として、昨年度新たに創設された機関です。これまで地域住民を対象に様々な取り組みを行ってきた在宅介護支援センターは、地域包括支援センターのブランチとして機能を持つところ、やむを得ず廃止となるところなど、様々な課題を抱えています。

 沖縄県地域包括・在宅介護支援センター協議会はこうした状況をふまえ、二つのセンターがそれぞれの役割をしっかり果たしていくこと目指し、両者の今後の取り組みに活かすため「地域包括支援センター創設後の地域づくりと連携をどうするか」を焦点に今回、現況調査を実施しました。

 今回の特集は、そこで浮き彫りとなった地域福祉を支えるこれらの機関の現状をお伝えします。

1.三割のセンターが基本運営費ゼロ~在宅介護支援センターの現状~

 この数年の間に、センターの運営主体自体に変化が見られます。介護予防事業関係にて筋トレや介護者予防教室など医師・看護師・理学療法士・作業療法士等のニーズが多くなり委託先として医療法人が増加傾向にあります。
取り組んでいる業務について順調ではない事業は、「高齢者虐待に関する相談・対応」が最も多い回答となりました。これは、在宅介護支援センターに対する委託金の削減や廃止によって十分な人員配置が行われず、その結果、従来行っていた実態調査や個別訪問などに時間が確保できない、あるいは実施できない状況となっていると思われます。また、ケースに関わる中で虐待の基準や支援システムへの理解や体制が不十分であることも考えられます。

 他にも「相談協力員に対する研修・意見交換会の開催」と「成年後見人制度の利用支援」への取り組みがあげられました。相談協力員については、日常的に活動できる協力員の確保が難しくなっています。職員が一人体制へと減らされ、研修や会合などの企画、開催まで手が回らないこともあります。成年後見人制度については、地域包括支援センターの福祉職配置が行われていない場合、あるいは一人体制の時はケース対応と連携に支障がでているのが現状として浮き彫りになりました。

 これを運営予算の面からみてみましょう。運営の基本となる基本事業費(固定費)については、6カ所の在宅介護支援センターで基本事業費なしという結果となりました。

 この点については、市町村行政側が地域包括ケアに対して、どのような考えを持っているのかが問われていると言えます。今後も在宅介護の中核的な存在となる在宅介護支援センターへ、自治体のより一層の支援の強化が求められています。

2.専門職の人材確保が課題~地域包括支援センターの現状~

 現在、40市町村にセンターが設置済みとなっています。また、少しずつ民間の社会福祉法人等への業務委託も進んでいますが、現状では半数以上が市町村直営でセンターを運営しています。

 業務において順調に行っていない事業については、最も多かった回答は「虐待防止、権利擁護」と「地域ネットワークの構築」でした。これには、日々介護予防プラン作成の業務に追われている、さらに社会福祉士の配置が不十分であることと重なり、満足な福祉事業展開ができていない現状が見えます。しかしこれら二つの業務は、地域包括ケアシステムの中核をなすもので、体制の充実強化が必要になると言えます。

 また、運営の基本となる事業費や運営経費については、いずれも前年度より増額されており、今後の事業拡大が期待されている現状が見えます。ただ、運営体制の課題として、第一に「職員数や体制」を上げており、業務量を考慮した人員配置が求められていると言えます。正規の職員としての採用ではなく、非常勤や嘱託職員として採用する事業所が多く、人材確保と職務分担や責任範囲の設定などが難しい要素も背景には見受けられます。

 また、地域包括ケアシステムのパートナーである在宅介護支援センター等との連携においては、ある程度を含め、79%が良好と答えています。また、地域包括支援センターから在宅介護支援センターに実施や協力を期待する事業としては、第一に地域住民向け啓発活動が上げられています。第二は介護相談窓口としての働き、そして第三は関係者のネットワークの構築となっています。これまで積み上げてきた在宅介護支援センターの相談、広報、アンテナ、訪問、ネットワーク構築の機能を活かした、両者の連携が求められています。

3.これまで以上のリーダーシップを期待
   ~地域包括支援センターへの期待と在宅介護支援センターとの連携~

 こうして新しくスタートした地域包括支援センターですが、既存の在宅会議支援センターや地域の団体からは何が期待されているのでしょうか。<BR>
 今回の調査で共通して出てきたキーワードに「リーダーシップ」がありました。地域包括支援センターと他機関(在宅介護支援センター等)との連携について良好と回答するセンターが七割以上ではありましたが、一方では、地域団体との連携・調整のための会議に開催状況ついては、年回を通じて開催していなセンターが約三割、年一回~五回とするセンタも二割強ありました。

 会議を開催していな理由としては「地域に在宅介護支援センターが存在していないため」とするセンターセンターが大半ですが、地域包括支援センターが連携する機関は多様であることを考えると、地域団体をより巻き込んで連携していくなど、地域包括支援センターのより一層のリーダーシップが求められています。

4.おわりに

 最後にここでは記載できなかった各センターから自由記述をもとに、今後の在宅介護支援センターと地域包括支援センターの働きについて述べたいと思います。

 前年度、地域包括支援センターは、とにかく介護予防プランの作成と人員確保に追われた一年でした。2年目の今年、現場が望む業務のあり方は、まず、総合相談窓口としての機能を充実させていくことだと思われます。そのためには、保健師、社会福祉士、主任介護支援専門員の人員確保と充実を図りつつ、その力を関係者とのネットワーク構築や虐待や処遇困難ケースへの対応と向けていくことが求められています。

 一方、在宅介護支援センターにおいてはこれまで積み上げきた実績と地域の情報、ネットワークをどう次につなげていくかが今問われています。両者の連携した地域づくりへの歩みは始まったばかりです。地域包括支援センターと在宅介護支援センターに課せられたテーマがそこにある。そこから障害や病気を抱えながらも安心して暮らしていける地域づくりの可能性が広がっていくのであり、減少しながらも在宅介護支援センターの存在意義も日々高まっていくのではないでしょうか。

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福祉情報おきなわVol.116(2007.11.1)
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