「災害被災者主体の支援」を実現するために

 長雨の影響による地滑りや道路崩落などが相次いだ2006年6月から1年が経ちます。沖縄では最近は地震による大きな災害は起きていませんが、台風による家屋の倒壊や長雨による水害・土砂災害など災害はいつおきてもおかしくない身近なものです。
 ここでは、沖縄県ボランティア・市民活動支援センター(県ボラセン)の災害に対する取り組み、特に被災者支援について、その視点と取り組みをご紹介します。

▲中城崩落現場(20068月)

■昨年の取り組み~長雨災害から~

 沖縄県ボランティア・市民活動支援センターではこれまで、「被災者主体」を念頭においた災害被災者支援を行ってきました。
 昨年6月の長雨災害では、県内中城村をはじめ、那覇市などで多数の避難世帯が生じたことから、県内外へのボランティアニーズの発信などを目的として「沖縄県災害ボランティアセンター」を設置しました。その後も「災害時のボランティアの力を考えるシンポジウム」の開催や長野県での災害ボランティアセンター設置訓練への参加など積極的に取り組んできました。

■今年度の取り組み~「災害被災者支援力パワーアップ事業」~

 今年度は日本郵政公社の年賀寄附金助成事業の助成を受けて、「被災者主体の支援」に「被災当事者間の自治力の向上」という視点を加えた「災害被災者支援力パワーアップ事業」を行います。一年間の事業ではありますが、モデル地区を指定しての避難所運営のシミュレーション訓練や災害被災者支援ガイドの作成、研修会等を行っていきます。
 災害という非日常の状況の中で、被災現場では子ども、女性、高齢者、障がい者、人工透析患者、外国人、アレルギー、難病、持病、、アルコール依存症、ペット等にまつわる本当に多様な被災者ニーズが生まれます。そうした多様な被災者のニーズをどこまで想定し、対策を講じておけるのか、そして災害時に被災者支援に携わる機関が連携しながら「被災者主体の支援」を行うためにはどのような視点や準備が必要なのかを当事者や支援に携わる方々とともに考えたいと思います。
 また忘れてはならないのが、被災から復興・回復する過程では、『被災当事者自身が生活上の意思決定を行い、その力がある』、ということを確認していくプロセスが重要ということです。このような被災当事者自身で“いのち”と“くらし”を守る「被災当事者間の自治力・共助力・合意形成力」を高めていくという点にも力を入れて本事業を効果的に実施していきたいと思います。

【コラム】

市民の力を活かした被災者支援

 被災現場で活躍する存在として、災害救援に駆けつけるボランティアがいます。これまでも全国各地で災害が起きたときに、日常の生活を奪われた被災地の状態に対して、「力になりたい!」と市民の想いが全国から被災地に向けられました。その形は「お金」や「物資」そして「ボランティア」という形で現れます。
 ボランティアは多様なニーズを持つ被災者一人一人へ時間を気にせず、独自の視点から細やかな支援を行うことができます。一律公平に行われる行政からの支援と連携することで、被災者支援に欠かせない力となります。
 一方で、こうした被災地へ集まる市民の想いが、被災者の生活を壊したり、日常生活を送る権利を侵害することになってしまうことは避けなければなりません。そこで重要になってくるのが、被災者を中心に考えたボランティア活動のあり方であり、被災者の日常生活を送る権利の回復を使命とした災害ボランティアセンターの存在です。社会福祉協議会はこの災害ボランティアセンターを設置する役割を担うことが期待されおり、市民の自発的な想いを受け止めながら、被災者支援に必要なボランティアの力をコーディネートしていきます。                   
沖縄県ボランティア・市民活動支援センター
Tel:098-884-4548(直通)
Fax:098-884-4545(直通)
e-mail vol@okishakyo.or.jp
ボランチュねっと http://volunchu.net/

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福祉情報おきなわVol.114(2007.7.1)
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