社会福祉法人のチャレンジ ~新たな社会福祉法人像の構築

社会福祉法人「沖縄コロニー」

『地域の自立支援』

1.法人・施設の概要
 法 人 名  社会福祉法人沖縄コロニー
 理 事 長  金城 康博
 事業所名 特別養護老人ホームありあけの里
 施 設 長  宮国 明美
 住  所  浦添市字前田997
 電  話  098-877-5047

2.地域貢献事業の概要
 事 業 名   遊び広場・あしびな~事業
 開始年月日 平成10年4月

3.実践に至った経緯と現状
 「あしびな~」とは、地域の中心地にある広場のことで、何かにつけて村の人々が集う場所であり、語り合い、交流の中心地という意味だ。

 この事業は当初、平成3年に沖縄コロニーが三菱財団の助成を受け、「地域における高齢者の介入プログラムあしびな~の試み」として、施設近隣7自治会の公民館で開始されたものである。

 具体的内容は、毎月、地域の高齢者に対して、会食会やレクリエーション活動、保健師等による健康チェックや生活相談等を提供する。参加者同士の社会的交流を促し、希薄化した隣近所との関係や地域の連帯感を再生することを目指した。

 この事業に対する地域の高齢者からの満足度が高く、さらに他地域への拡がりの兆しをみせたこと等により、研究助成が切れた後も本研究事業に携わった学識経験者のバックアップや浦添市の地域福祉基金の活用に結びついた。その後、実施地域の自治会の都合により、経塚自治会だけが事業継続することになった。施設(ありあけの里)と自治会、婦人会の関係者間で事業継続に向けた話し合いが持たれ、毎月第3木曜日の午前中、約15名程度の高齢者が参加して、あしびな~事業が実施されることになった。同公民館では「生きがい型デイサービス」も実施されている中、あえて自治会独自事業としてあしびな~事業を継続したのは、地域住民が自らの地域のあり方を真剣に考えていたからにほかならない。

 経塚自治会の会長と事業開始当時の婦人会会長から話を伺った。「当初、婦人会では主に役員が事業に関わっていた。やがて地域の先輩に喜ばれる料理を作りたいという意識が芽生え、次第に役員が声をかけなくても会員が自主的に参加するようになった。この事業を継続できただけでなく、婦人会活動が活発になったことの二重の喜びがあった」と、事業の副次的効果についても語った。自治会長は、「この地域は寄留民が増え、希薄化した住民同士の関係を取り持つ有効な手段として、自治会も積極的に関わるチャンス。」として受け止めていたようだ。

 宮国所長は事業についてこう振り返る。「事業開始当時は、施設がほとんどお膳立てしていた。この事業を地域に根付かせるには、活動のキーパーソンの確保が課題だった。そこで、婦人会の「口コミ」の効果を期待して、役員へ何度も足を運び、その必要性を訴え理解してもらった。実は、助成金がなくなった後、自治会や老人会の皆さんが空き缶拾いをして、活動資金の捻出されていたとを聞いて、これは本物だと思った。施設の関わり方も、全面支援から地域住民ができることはそれを委ね、施設は後方支援(専門的サポート)に軸足を置いていきたい。今後は、施設が持つノウハウを地域へ還元し、地域住民の隠れたアイデアを事業に活用して、自分達の手で作り上げていく意識を醸成させていきたい。」と語った。「地域の自立支援」に向け、施設が本当に地域のことを理解していたからこそ到達できるものだ。
  
4.今回のチャレンジに思う
 今回の取材で、「施設が地域へどう関わるべきか」の真髄みたいなものを感じた。法人経営者が、地域に施設が存在する意義を再認識することが求められ、さらに地域の福祉課題やキーパーソンを把握し、地域住民の潜在能力を引き出す力を兼ね備えていないと、円滑な地域との関わり方を見出すことは難しい。

 事業にあたって、施設が地域の高齢者一人ひとりに毎月送っていたハガキがある。「遊び広場(あしびなー)」への案内ハガキだが、これが高齢者の心を引き付ける秘策らしい。手紙のやり取りの少ない高齢者にとって、このハガキは生きがいや生活意欲の向上につながるという。「ハガキの経費負担はあったけど、施設が地域と本気で付き合うことを示したかった」という所長の言葉に、この事業に対する施設の思い入れの強さを感じた。




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福祉情報おきなわVol.103(2005.9.1)
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