第3章 基本構想、基本計画

第1節 基本目標1 地域福祉の推進及び福祉文化の形成
1.現状と課題
今、私たちが暮らす地域社会は、少子・高齢化の進行や単身世帯・高齢者世帯の増加、地縁血縁社会の機能低下、ライフルスタイルの多様化等により人間関係が希薄化し住民同士のつながりや相互扶助機能の低下が指摘されています。

 本会は、これまでも地域の福祉ニーズに即した小地域福祉活動に取り組んできましたが、市町村社協や社会福祉施設、民生委員児童委員、ボランティア、住民との協働のもと、孤立死の防止や災害時における要援護者への支援も含めた更なる小地域福祉活動の充実に取り組むことが求められています。

 また、ボランティアやNPO活動に対する県民の関心の高まりとともに、さまざまな分野における活動の広がりが見られるなか、地域福祉の担い手としてのボランティア活動の支援や福祉教育を推進していくことが必要です。

 さらに、住民の抱える生活課題や福祉課題も複雑・多様化しており、社会福祉施設の持つ専門性を活用した地域貢献活動の促進が求められるとともに、地域の最前線にあって社協とともに地域福祉活動を担っている民生委員児童委員への個別的・組織的な活動支援を強化していく必要があります。

 そして、誰もが住みなれた地域で安心して生活が送れるよう地域の特性を踏まえ、公的な制度とインフォーマルな仕組みを組み合わせた新たな支援体制の確立により、地域福祉の推進を図ることが求められています。
2.基本構想
孤立死の防止や災害時の要援護者支援なども含めた地域住民による支え合い活動の支援体制の整備を促進するため市町村社協活動を支援するとともに、市町村社協の地域福祉活動計画策定及び市町村の地域福祉計画策定を促進します。
大規模災害時において社会福祉協議会が担うべき機能と役割を明らかにし、災害に強いまちづくりを進めます。
さまざまな分野におけるボランティア・市民活動に多くの県民が参画できるよう市町村ボランティアセンターへの支援を強化しながら、ボランティア学習や福祉教育の推進等に努めます。
社会福祉施設による専門性を活かした地域貢献活動を促進し、地域福祉の推進に向けて市町村社協と社会福祉施設の連携体制の構築を図ります。
県民児協の組織強化及び民生委員児童委員活動を支援するとともに、民生委員児童委員が地域福祉活動をより円滑で効率的に行えるよう、地域の関係ネットワークづくりを支援する。
公的な福祉サービスのほか、保健・医療等の社会資源や住民の支え合い活動などのインフォーマルな支援を含め、地域の実情に応じた沖縄型の地域包括支援体制の確立を目指します。
3.目標達成に向けた取組み
活動目標1 市町村社協活動強化の支援を通じた地域福祉の充実
市町村社協がこれまで培ってきたネットワークを活かした小地域福祉活動を推進し、地域住民の支え合い活動による絆の再生を図ります。また、市町村社協におけるコミュニティソーシャルワーク実践の推進を図り、地域住民とともに地域の個別ニーズに即した支援体制の組織化を促進し地域福祉の推進に努めます。

さらに、社会福祉法で定められた市町村の地域福祉計画と連動した民間活動の計画である地域福祉活動計画の策定の推進に向け、市町村社協への支援を強化します。
 (1)小地域福祉活動の推進支援
【取組み】
小地域福祉活動の調査研究の推進
小地域福祉活動の普及促進
【目標】
平成22年度現在、38市町村において実施されているふれあい・いきいきサロン及びミニ・デイサービス活動について、平成27年度までに全ての市町村での実施を目指します。
小地域福祉活動推進組織のある市町村社協数は、平成22年度現在10ヵ所となっていますが、平成27年度までに18ヵ所の市町村社協での設置を目指します。
見守り・生活支援ネットワーク活動に取り組む市町村社協数は、平成22年度現在12ヵ所ですが、平成27年度までに21ヶ所の市町村社協での実施を目指します。
(2)コミュニティソーシャルワークの推進
【取組み】
コミュニティソーシャルワークの調査研究の推進
コミュニティソーシャルワーク実践の普及促進
【目標】
平成22年度現在、10市町村社協において地区担当コミュニティソーシャルワーカーを配置していますが、平成27年度までに14市町村での実施を目指します。
(3)地域福祉活動計画策定の推進
【取組み】
地域福祉活動計画策定への支援
【目標】
平成22年度現在、11市町村社協において地域福祉活動計画が策定されていますが、平成27年度までに18市町村社協での策定を目指します。


活動目標2 ボランティア・市民活動の充実強化
沖縄県ボランティア・市民活動支援センターは、県域の拠点としてのネットワーク機能を活かし、さまざまな分野において県民がボランティア・市民活動に参画できるよう環境整備や情報収集・発信に努めます。
特に、市町村社協におけるボランティアセンターへの支援、災害時の被災者支援体制の強化、地域・学校におけるボランティア学習・福祉教育の推進を図ります。
また、NPO(非営利活動団体)が県民の共感と信頼を得て継続した活動を行っていくよう、その活動基盤の強化やネットワークの形成、行政や企業との協働連携の促進に努めます。
(1)市町村ボランティアセンターへの支援
【取組み】
市町村ボランティア担当職員の資質向上
市町村ボランティアセンターの実態把握と運営への助言
【目標】
研修会を通じて地域のボランティアニーズを的確にキャッチし、課題解決ができるようボランティア担当職員の専門性を高めます。
実態調査や巡回訪問などを通じた助言・提言によって、市町村社協ボランティアセンター運営の充実と機能強化を図ります。
(2)ボランティア・NPO活動の推進支援と環境整備
【取組み】
ボランティア・NPO活動の普及啓発及び参加促進
ボランティアコーディネーターの育成及び支援
NPO活動への支援と連携・協働の推進
ボランティア団体・NPO等の実態把握と活動推進方策の検討
【目標】
平成22年度現在612カ所へ配信しているメールマガジンを平成27年度までに150ヶ所配信先を増やしながら、ボランティア・NPO活動への理解者を増やすと共に、活動参加の機会を拡げます。また、ボランティア団体・NPOを対象としたセミナーの開催を通して、活動基盤の強化や活性化を図ります。
ボランティアを受入れている様々な組織・関係機関のコーディネーターに対し、必要な情報提供・助言等を行います。また、コーディネーター研修会の開催を通して、その資質向上やスキルアップを図り、より活発で継続したボランティア活動が展開できるよう支援します。
県内の市民活動支援機関・団体との連携強化を図り、NPO等に対する、運営や事業の企画・実施等に関する相談支援・情報提供等を行うとともに、活動基盤の強化や活性化のためのセミナーを開催します。また、種々の福祉・生活課題の解決に向けてNPO等との連携協働を進めます。
実態把握をもとに、活動推進方策を検討、実践していくことにより、今後のボランティア団体・NPO等の活性化、活動の振興につなげます。
(3)ボランティア学習・福祉教育の推進
【取組み】
地域・学校におけるボランティア学習・福祉教育の推進と支援
【目標】
学校・地域・社協・NPOなどの実践を情報収集・共有するとともに、教育分野と福祉分野の連携を進め、児童・生徒のボランティア学習・福祉教育の積極的な展開を図ります。


活動目標3 社会福祉施設の地域福祉・地域貢献活動の支援
社会福祉施設が地域の社会資源として、社会福祉施設の持つ専門性及び機能を活かし、住民の多様な福祉ニーズに応えるべく公益的な取り組みの推進を図るため、社会福祉施設による地域貢献活動の普及啓発に努めます。
また、社会福祉施設と市町村社協等との連携により地域福祉の推進が図られるよう、種別協議会等を通じた社会福祉施設への支援を行います。
(1)実態把握及び貢献活動の促進
【取組み】
社会福祉施設による地域貢献活動の実態調査の実施及び貢献活動の促進
市町村社協活動と社会福祉施設地域貢献活動の連携支援
【目標】
社会福祉法人による地域貢献活動の普及を通じて、地域の福祉ニーズに対する専門的サービスの積極的な展開を図ります。
市町村社協と社会福祉施設の連携によって、制度的なサービスによる対応が困難な福祉ニーズに対する重層的なセーフティネットの構築を図ります。

活動目標4 民生委員児童委員活動の強化・支援
市町村社協と単位民児協・市町村民児協が一体となって地域福祉の推進に取り組むため、県民児協の組織強化及び民生委員児童委員活動を支援するとともに、民生委員児童委員が地域福祉活動をより円滑で効率的に行えるよう、地域の関係ネットワークづくりを支援します。
(1)民生委員児童委員活動の強化
【取組み】
県民児協の運営基盤強化の支援
民生委員児童委員の相談技術向上のための支援
【目標】
県民児協の運営基盤の強化を通じて、地域の民生委員児童委員活動の活性化に向けた取り組みの促進を図ります。
民生委員児童委員の相談技術の向上によって地域の福祉ニーズに対する適切で積極的な対応を促進します。
(2)地域の福祉ネットワークにおける連携活動の推進
【取組み】
災害対策支援ネットワークへの参画促進
地域支え合いネットワークへの参画促進
【目標】
災害支援における関係機関・団体との役割分担や連携体制を明確にし、災害時の即応体制を構築します。
地域の公的機関や住民団体等のネットワークの構築を通して、制度的なサービスや支援が難しい生活ニーズへの対応の強化を図ります。

活動目標5 地域包括支援体制の確立
高齢者世帯や単身世帯が増加する中、出来る限り住みなれた地域での生活を持続させていくために介護保険、医療保険制度などの公的な支援に加え、地域住民の支え合いによるインフォーマルな支援をもとに、地域の様々な機関・団体、個人、企業等の社会資源を有機的に結び付けた地域包括支援体制づくりの推進を図ります。
(1)地域における社会資源連携による支援体制づくりの推進
【取組み】
地域包括支援体制のあり方に関する検討
地域の社会資源連携による包括的支援体制づくりの推進
【目標】
誰もが住みなれた地域で、安心して生活が送れるような自助・互助・共助・公助の機能を結びつけた生活支援システムの構築を目指します。

活動目標6 災害時における支援体制の構築
災害時における要援護者への支援活動について、市町村社協が迅速な要援護者避難、被災者支援に当たることができるよう、災害支援体制の整備を進めます。
また、保育や障害、高齢者などの社会福祉施設・団体と連携を図りながら、災害時の社会福祉施設における施設間支援体制の整備を図ります。
さらに、実際の災害発生時には、本会災害救援マニュアルや全国社会福祉施設協議会からの要請、九州ブロック社会福祉協議会災害相互応援協定をもとに被災者及び被災地の支援活動を行うとともに、各種社会福祉施設・団体との連携のもと、被災施設への支援を行います。
(1)災害時における支援体制の整備と強化
【取組み】
市町村社協災害対応マニュアル策定の推進支援
災害時に備えた市町村社協相互応援協定の整備
市町村社協における災害ボランティアセンター応援担当職員配置の推進と養成
災害時の社会福祉施設間支援体制の整備に向けた社会福祉施設・団体との連携
【目標】
災害時に市町村社協が迅速な支援活動が行えるよう、災害対応マニュアル策定に向けた研修会の開催や個別支援を行い、平成27年度までに16市町村社協での策定を目指します。
災害時に必要に応じて他の市町村社協の支援が円滑に行われるよう相互応援体制の構築を目指します。
全ての市町村社協に災害支援担当職員の配置を進めるとともに、毎年1回以上の研修を実施して、災害対応スキルの向上を図ります。
各種社会福祉施設・団体との連携のもと、災害時及び被災後においても、地域において要援護者及び社会福祉施設利用者が適切な福祉サービスを利用できるよう、社会福祉施設間支援体制の整備を図ります。
(2)災害時における支援活動の実施
【取組み】
被災者及び被災地に対する支援
【目標】
被災者及び被災地の市町村災害ボランティアセンターへの支援や各種助成金・貸付金等を活用し、迅速かつ的確な支援活動を行います。
被災後、福祉サービス利用者へのサービス提供が迅速に継続できるよう、県内の社会福祉施設・団体と連携し、被災施設の支援を行います。
全国社会福祉協議会からの要請や九州ブロック社会福祉協議会災害相互応援協定により支援活動を実施します。


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