第3章 基本構想、基本計画

第2節 基本目標2 福祉サービス利用者及び当事者団体活動の支援
1.現状と課題
介護保険制度や障害者福祉、保育分野を中心に規制・制度改革が進行する中、社会福祉法人及び福祉事業者においては、サービス利用者のニーズに適切に対応する良質で安定的なサービスを提供していくことが求められており、従事者の資質向上に向けた研修の充実及び社会福祉法人の更なる経営基盤の強化と安定的・継続的事業展開のための経営計画の策定及び評価の推進が重要となっています。

 一方、少子高齢化の進展による労働人口の減少に加え、福祉・介護サービスの分野における求人・求職者のミスマッチや離職率の高さなど社会福祉施設や事業所においては、慢性的な人手不足の解消が大きな課題となっています。人材の確保に向けて、有資格者や経験者の再就労促進及び福祉従事者の職場定着支援に向けた取り組みの促進を図る必要があります。

 また、福祉サービスの改善及び質の向上に向けて、利用者等からの苦情への適切な対応が図られるよう、福祉サービス提供事業者への周知及び啓発が重要となってくることから、福祉サービスに関する苦情解決事業の推進を図ることが求められています。

 さらに、昨今の経済状況において社会福祉振興基金及び地域福祉基金の運用果実が減少の傾向にあるが、地域の多様な福祉ニーズに対応するため県内の民間福祉団体やNPO等財政基盤が脆弱な団体の活動に対する支援として、資金助成による活動の支援は今後も推進していく必要があります。
2.基本構想
各種別協議会による専門的な研修を推進するとともに、福祉従事者の体系的な養成研修を通して従事者のスキル及び専門性を高め、福祉サービスの質の向上を図ります。
沖縄県社会福祉施設経営者協議会と協働して社会福祉法人の経営基盤強化を図ることで、質の高いサービスが安定的に提供できるよう社会福祉法人への支援活動を展開します。
助成金の交付により、県内の民間福祉団体やNPO法人等の福祉活動を支援し、福祉団体等の育成に努めます。
福祉人材無料職業紹介事業による求人と求職者のマッチングを強化し、福祉・介護サービス事業所における人材確保に努めるとともに、職員の定着及びキャリア形成に対する支援を強化します。
県民等に対し介護に関する知識や技術を提供するとともに、在宅介護や認知症に関する講演会の開催、福祉用具や住宅改修の展示・紹介など啓発普及に努め、家族介護者等の不安解消、負担軽減を目指します。
福祉サービス利用者及び家族等からの苦情について、運営適正化委員会事業により事業所段階での適切な解決が図られるよう支援するともに、福祉サービス利用援助事業が適切に提供されるよう運営監視に努めます。
3.目標達成に向けた取組み
活動目標1 施設提供サービスの質の向上
種別協議会における各種委員会や専門部会等の組織活動の活性化による自主運営を促進し、併せて、課題別問題別の専門的な研修会等の実施を推進することにより福祉サービスの質の向上を図ります。
また、今後とも種別協議会と緊密な連携を保ちながら、福祉課題の共有化を図るとともに、課題解決に向けての連絡調整や調査研究活動等の協働事業を推進します。
さらに、県からの受託研修等についても、種別協議会との機能分担を考慮しながら福祉従事者の体系的な養成研修を進めます。
 (1)課題・問題別の専門的な各種研修会等の推進
【取組み】
事業活動展開における課題・問題の把握
施設従事者のスキルアップのための研修機会の確保・実施
【目標】
予定されている児童・障害・介護等の制度改正への対応のため、種別ごとの課題を把握・整理し、良質な福祉サービスの安定提供に資する具体的対応策の推進を図ります。
サービス提供課題・問題アンケート(種別毎・毎年度)の結果を基に、より実践的な従事者研修会(研修参加者年間延7,500人目標)を種別協議会との共催のもと、適宜実施します。
(2)調査研究活動の推進
【取組み】
福祉課題の共有化と共通課題の把握
課題解決に向けた連絡調整機能の強化
【目標】
種別協議会々長会議の開催や種別合同調査・研究委員会の設置により、種別横断的な共通課題を把握し協働してその解決に向けた取り組みを促進します。また、「大規模災害等緊急対応共通マニュアル」の作成や「緊急時事業活動継続マニュアル」づくりを進めます。
(3)福祉従事者の体系的な養成研修の実施
【取組み】
社会福祉事業従事者等の研修強化
福祉・介護サービス従事者のキャリアパスに対応した生涯研修体系の構築
【目標】
社会福祉事業従事者が、多様化するニーズに対応し、利用者等に対する支援が円滑に行えるように、新任、現任研修、専門研修等、それぞれの専門知識・技術の習得を通じて資質の向上を図ります。
福祉・介護サービス従事者のキャリアパスに対応した生涯研修体系を構築し、福祉・介護従事者の資質向上及び処遇改善を図ります。

活動目標2 社会福祉法人経営改善・安定のための支援
県内の社会福祉法人の基盤強化と安定経営に向けた取り組みを推進します。そのためにも各種経営基盤強化ツールの開発や会員相互情報交換、研鑽を深めるためのセミナー等事業を展開する県社会福祉法人経営者協議会の組織活動の充実強化に努めます。

また、変動する労働関係法及び会計・税法等に対応するセミナー等を協働して適時開催し、その適正な運用を進めます。
(1)社会福祉法人経営者協議会活動の強化・促進
【取組み】
経営改善ツールの活用の普及促進
労務管理、会計・税務等経営強化事業等の推進
法人活動の県民理解に向けた取り組みの推進
【目標】
法人自らが経営状態を把握し、課題点等を点検することにより、その改善を図ることを目的とした経営改善ツール(全国経営協開発)の活用普及を図ります。
労務関係、会計・税務関係等関係法規の改正等に対応するセミナー等を開催し、各法人の法令順守に対する意識の高揚を図ります。
社会福祉施設や法人活動への県民の理解と協力を得るため、第三者評価事業の受審促進等、経営状況の開示による透明性の向上を目指します。

活動目標3 資金助成による活動支援の推進
県内の民間福祉活動の育成及び強化を図るため、効率的な運用を行い県内の民間福祉団体やNPO等財政基盤が脆弱な小規模団体に対し、適正な審査の下、助成金による福祉活動の支援に努めます。
(1)社会福祉振興基金及び地域福祉基金助成事業の実施
【取組み】
適正な団体選定と審査による的確な活動支援
地域活動モデル事業への活動支援
事業周知の強化と対象団体の適切な把握による支援の拡大
【目標】
財政基盤がぜい弱な民間福祉団体等に対し、金銭的助成を行うことにより、団体の自主的かつ創造的な活動を助長します。
先駆的な事業に助成し、スムーズな事業実施を支援することにより事業の普及・拡大を図ります。
助成情報の発信及び関係団体との情報の共有化により広い選択の中からの適正な助成を行います。

活動目標4 福祉人材の養成・確保事業等の推進
高齢化の進展によって福祉・介護サービス分野における労働市場が拡大する中、少子高齢化の進展による労働人口の減少に加え、福祉・介護サービスの分野における求人・求職者のミスマッチや離職率の高さなど、慢性的な人手不足の解消が大きな課題となっています。

福祉人材センターでは、福祉の仕事に対する広報啓発活動を行うとともに無料職業紹介事業を通じて、ハローワークや職能団体、福祉人材養成校との連携を強化し、福祉人材の確保に努めます。

また、介護福祉士等の資格取得支援を行い、専門的な人材の確保につなげるとともに職員の福利厚生の充実を支援し、人材の定着支援に努めます。
(1)福祉人材の就労および定着の支援
【取組み】
福祉の仕事に関する啓発・普及
福祉人材無料職業紹介事業の充実
求職者ガイダンス等による登録促進
福祉人材の資格取得のための支援
福祉人材の定着に向けた支援
【目標】
高校生等を対象とした入門教室の実施や「介護の日」に関する啓発活動を行い、福祉・介護職のイメージアップを図ります。
福祉人材無料職業紹介事業の充実により、求職登録者及び求人事業所を増やし、斡旋件数の増加を図ります。
福祉の職場説明・面接会、養成校等の学生を対象とした就職ガイダンス、福祉・介護の職場体験の実施等により、福祉事業所への就職率の向上につなげます。
人材確保が困難な先島地域における介護福祉士等の資格取得支援を行い、人材の育成・確保を図ります。
各施設・事業所の福利厚生の充実を支援し、人材の定着の促進を図ります。
(2)社会福祉事業従事者確保に関する調査研究
【取組み】
社会福祉事業従事者確保に関する調査等を通じた課題把握
【目標】
調査を通じて得た福祉人材確保の課題を把握し、福祉職への就労希望者と求人施設等への支援及び関係機関との連携を図ります。

活動目標5 介護技術等の普及による介護意識の促進
高齢化がますます進展する中で、介護保険の見直しや障害者の自立支援施策の展開等に伴い、要支援者の介護等について県民一人ひとりがそれぞれの課題として適切に対応する必要があります。

そこで、介護問題について県民の理解のもとに「高齢社会は県民全体で支えるもの」という考え方を広く地域住民に啓発するため、高齢者等介護の実習等を通じて、介護知識、介護技術の普及と啓発事業の推進を図ります。

さらに、県総合福祉センターを拠点として、介護実習室、福祉用具の展示・相談体制を整備し、介護研修の充実と福祉用具・住宅改修の普及を図とともに、各関係機関・団体との密接な連携を進め、介護実習・普及センター事業を効果的に推進します。
(1)介護・福祉用具及び住宅改修に関する知識・技術の普及啓発
【取組み】
介護・福祉用具及び住宅改修に関する知識・技術の普及講座の開催
地域における介護知識や技術の提供・普及
【目標】
高齢者介護講座等を通じて、県民の介護についての知識や技術の向上を図ります。
介護技術や福祉用具等の情報及び介護技術を提供し、介護者の負担軽減を図ります。
地域における介護の普及啓発の展開を図るための講師を養成します。
(1)介護等相談及び福祉用具展示の充実並びに介護実習教室の活用
【取組み】
介護・福祉用具に関する相談等への対応
福祉用具普及啓発の推進
【目標】
福祉用具等の展示充実や介護等の相談を通じて、県民や介護従事者の福祉サービスの選択肢を広げ、県民の在宅介護の支援を図ります。

活動目標6 苦情解決による適切な福祉サービスの推進
苦情解決の取り組みは、利用者の立場に立った適切な福祉サービスの実現を目指す仕組みとして重要なものであり、広報活動の強化および関係相談機関との連携によって、福祉サービスの利用者をはじめ県民、事業者等への普及・啓発を図ります。

サービス提供事業者においては、社会福祉法第82条の規定により、利用者等からの苦情の適切な解決を図るための仕組みを設けることが義務付けられ、苦情受付担当者や解決責任者、第三者委員の設置など苦情解決システムの整備に取り組んでいますが、今後更に各事業所段階での適切な苦情解決が図られるよう運営適正化委員会において研修会、巡回指導、その他必要な事業の推進に努めます。

また、利用者の権利擁護を目的とした福祉サービス利用援助事業の適切な運営を確保するための運営監視業務を推進します。
(1)運営適正化委員会事業の実施
【取組み】
苦情受付担当者や解決責任者、第三者委員による苦情解決システムの設置促進
福祉サービス利用援助事業の適切な運営監視の推進
【目標】
事業者段階での適切な苦情解決が促進されるとともに、利用者からの苦情への適切な対応により福祉サービスの質の向上を図ります。
福祉サービス利用援助事業の適切な運営が図られるよう、運営監視業務を推進します。

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