県民児協広報情報誌 −第34号−

ふくらしゃ

『朝の読み聞かせ』による幼児・児童・生徒の
                 満面に浮かぶ笑顔に元気もらう
            
            (八重瀬町民生委員児童委員協議会)

 近年、「読み聞かせの」活動が活発に行われています。読書の秋≠ニいうこともあり、今号では民生委員としての活動の中に読み聞かせを取り入れている、八重瀬町の委員の方にスポットを当ててみました。

 八重瀬町は、旧東風平町、旧具志頭村が合併してできた、人口約二万七千人の町です。
 旧東風平町区を担当する第一民児協は定数三十二名で担当区に小学校二校、中学校一校あります。
 今回は白川幼稚園で読み聞かせボランティアとして活動している八重瀬町第一民生委員児童委員協議会の船附初江(ふなつき はつえ)さんにお話を伺いました。

1.地域を愛す

 船附さんは現役時代、那覇市内の小学校教諭として活躍し、東風平に住んでいながら、なかなか地元の手伝いが出来なかったことを、定年退職を機に地域に恩返ししようと決意。すぐに民生委員・児童委員を引き受けたそうです。委員の活動の傍ら先輩委員の行っていた「読み聞かせ」ボランティアにも積極的に関わり現在も続けています。

 根っからの子ども好きで、「管理職(校長)となり子どもたちと接する機会が少なくなったときはとても寂しい思いをした。定年退職後、民生委員・児童委員の委嘱を受け、ボランティア活動を通して子どもたちと再びふれあう機会がもてたことはとてもうれしいです。」と語ってくれました。

2.「朝の読み聞かせ」と「学習支援ボランティア」

 白川小学校区では前任の民生委員が平成十三年から幼稚園、小学校、中学校で「読み聞かせ」ボランティアを始めたそうです。当時、民生・児童委員全員に活動を呼びかけ、旧東風平町全域で民生委員・児童委員による活動が定着したようです。合併を機に旧具志頭村を含む八重瀬町全域で「読み聞かせ」活動が行われています。

▲ 船附さん

★ 船附さんに、活動を通して得たこと、ご苦労などを伺いました。

Q 朝の読み聞かせについてお聞かせ下さい。

 民生委員・児童委員になってからは、朝の読み聞かせをしたり、学習支援ボランティア(授業支援)をする中で、子どもたちの満面に浮かぶ笑みを見ると、心が癒されます。地域の宝である子どもたちを健やかに育てることは、地域の活性化にもつながります。
 読み聞かせは、各校区ごとに民生委員・児童委員が協力して毎月一回の午前中の十五分間で実施しています。
 使用する本の購入は八重瀬町社会福祉協議会から支援してもらっています。           
 幼稚園から小学校、中学校の各クラスに全員で分担して行っています。

Q 学習支援ボランティアについて  
 お聞かせ下さい。
 主に、国語と算数の授業を支援しています。これも、校区ごとに民生委員・児童委員と保護者が協力してボランティア活動を行っています。
 子どもたちの中には、先生の授業をすぐ理解する子と、理解に時間がかかる子がいます。
 そこで、ボランティアの支援を必要として要請のある学級に対しては、分担して支援に努めています。
 子どもたちは理解するようになると笑顔が見られます。その時も心が癒され、ボランティア活動をして良かったと思います。
★船附さんのように、ボランティア活動を通じて子どもたちから元気をもらう、という民生委員・児童委員の方は多くいらっしゃることでしょう。
 幼少の頃読んでもらった本は、大人になっても忘れないものですし、
大人になってからこそ気づくメッセージがあると思います。そのメッセージを、子供たちに伝えたい・・・反応は様々で、思わぬ場面に興味を示したり、一筋縄にはいかないことも多々ありますが、読み聞かせに参加した子どもたちが、大きくなっても、本や、読んでもらった人の優しい声、読み聞かせ独特の柔らかい雰囲気を忘れずに心に留めていてくれたら、うれしいですね。
 「読み聞かせの」温かさを、再認識した、今回のインタビューでした。

(聞き手:本会広報委員 西原正幸)

▲読み聞かせ風景

第一回 地域福祉課題別研修会 報告

 去る九月三十日、沖縄産業支援センターにおいて、「第一回地域福祉課題別研修会」が開催され、県内各地から単位民児協会長、児童委員(主任児童委員)約一九〇名余りが参加しました。その概要について報告します。
 今回のテーマは、『学校との連携のあり方』。児童の健全育成の観点から、学校との関わりは重要な要素となるわけですが、今あらためて学校現場の状況に理解を示し、学校と児童委員(主任児童委員)・民児協との協働や役割分担等について考えることを目的に開催しました。
 基調講演では、大阪府立大学准教授の山野則子先生から、不登校やひきこもり、学級崩壊等学校現場において直面する課題等について、他県の事例を交えながら詳細な解説がありました。特に、課題を抱える親子に対する児童委員(主任児童委員)の支援のあり方として、解決の答えを示すのではなく、当事者である親子が答えを見つけていく過程(プロセス)を大事にしながら、表面的な困りごと(ニーズ)に目を奪われずに、その奥に潜んでいる「何に悩んでいるのか」に支援のチャンネルを合わせていく姿勢が大切であるとの助言をいただきました。 
 引き続いて行われたシンポジウムでは、三つの単位民児協からの実践報告を素材としながら、@課題を抱える当事者(親子)の視点で行われる支援のあり方、Aどうしたら学校とうまく連携が図れるのかの二点にポイントを絞って、議論が交わされました。
 

 名護市第一民児協の主任児童委員島袋安行氏は、高校受験を控えた生徒への支援を通して、学校側の方針と生徒本人の気持ちを踏まえ、本人の「進路選択」という自己決定を支援していく取り組みについて報告がありました。
 那覇市真和志第四民児協の主任児童委員 諸喜田葉子氏からは、学校現場が一番困っている保護者との連絡が途切れないよう、学校や保護者、他の児童委員に対して、双方の現状を「伝えること」と「繋ぐこと」を意識することの大切さを指摘されました。 
 南城市大里民児協の主任児童委員島袋恵美後に山野先生からは、児童委員(主任児童委員)や民児協が学校や当事者(親子)の両方を「つなぎ」、「調整する」役割発揮が期待されており、学校との関係とのあり方も情報の共有を図る「情報連携」から、共有された情報への対応を図る「行動連携」への転換が今後の課題であるとのまとめがありました。

▲山野先生とシンポジスト


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福祉情報おきなわVol.128(2009.11.1)
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