ほっとニュース TOPICS vol.117

使い勝手にとことんこだわる

義肢装具士 佐喜眞 保 氏

 宜野湾市愛知の住宅街の中に株式会社佐喜眞義肢がある。代表を務める佐喜眞氏が27年前、夫婦2人で始めた事業も今では従業員16名となり、電話や来客への対応に追われた活気のある事務所だ。

義肢装具の仕事を始めるまで

 幼少期に患った結核性脊椎カリエスによって、腰から胸までコルセットを装着し、痛みと障害を抱えた自分自身のコンプレックスと戦い続けたという佐喜眞氏。
 県外の鉄工所で働き、ものづくりに携わる中、現場での大事故により1年のリハビリ生活を余儀なくされ、沖縄に戻ってきた。その時、福祉事務所の職員に勧められ福岡県の身体障害者職業訓練校で義肢装具について学ぶ。
 鉄工所での経験があった佐喜眞氏にとっては、学校の訓練だけでは物足りなく、訓練校に通いながら、義肢製作所に弟子入りするなどして技術を身に付けていった。
 卒業後、沖縄で開業するもなかなか仕事の依頼がなく、車いすや装具の修理をしながらの厳しい状況だったと言う。

使う人に向き合って高めた技術

 しかし、溶接技術のある佐喜眞氏の修理は評判良く、利用者の口コミで「あそこに頼めば、自分の注文どおりに作ってくれるよ」と次第にお客が増えてきた。
 「もちろん、義肢装具の専門的な勉強もたくさんしたけど、それよりも使う人の立場になって作っていた。装具が合わなくて、結局使わずにしまわれると意味が無いからね。鉄工所の経験を活かして、どうしたら、要望に応えられるか試行錯誤しながら作っていたよ」と佐喜眞氏は振返る。
 一人ひとりの身体や症状が異なる中、全ての人に満足してもらえるものを作るのは容易ではない。時に、障害を負った事実の受容さえままならない状況下で、人はどれだけはっきりと自分の要望を他人へ伝える事が出来るであろうか。
 そのような問いに対して、佐喜眞氏は「初対面が大事。相手の気持ちを読み取るために、どういった性格なのかをしっかり観察するんだよ」とのこと。
 忙しいはずなのに温かい眼差しで、話を急がずにじっくりと聴き、取材にも丁寧に受け答えする佐喜眞氏の表情には、自信に満ちた安心感を覚えた。
 オリジナル間接装具として特許を取得したCBブレースにたどり着くまでには、様々な失敗や困難があったという。それでも「求める人が来るから、それに応えてきただけ。私はお客に動かされてきたんだよ。」と利用者主体のものづくりを語る。

希望を与える仕事、義肢装具士

 佐喜眞氏自身、実務経験と定められた講習を受講して国家試験を受験し、平成5年に取得した義肢装具士だが、県内には受験資格を得るための養成校がない。失われた機能の回復を図る「装具療法には夢がある」というこの職業を県内でも多くの人に目指してもらえるよう、「沖縄にも養成校を作りたいんだ」と話す口調に力を込めた。

▲「ものづくり日本大賞」を始め、数々の賞を受賞しているCBブレースのポスターの前に立つ佐喜眞氏

***** 新採用職員紹介 *****

沖縄県社協で新採用した職員の紹介です。
 11月から働いている、山入端です。私が担当する総務部は、職員の方々が気持ちよく福祉活動に従事できるよう、縁の下の力持ちとなってサポートしていく事が大きな役割だと感じております。 
 しかし、働いて間もない私は、手助けはおろか、まだまだ迷惑をかけてばかりの日々です。一日でも早く、皆さんのお役に立てるよう、頑張っていきます。
 地域住民をはじめとする多くの方々に喜んでいただけるよう、間接的にではありますが、業務に専念していきますので、これからよろしくお願いします!

総務部 主事 山入端 涼

福祉関係者1300名余が参加

 第50回沖縄県社会福祉大会

 平成19年10月23日(火)沖縄コンベンションセンターにおいて「誰もが安全で安心して暮らせる福祉のまちづくり」のスローガンの下、民生委員制度創設90周年記念となる第50回沖縄県社会福祉大会が行われた。
 当日は、社会福祉活動の功績が多大な個人及び団体300件の表彰が行われ、被表彰者代表あいさつを行った民生委員児童委員の前原穂積氏は、「今後も力の限り、社会福祉活動に従事したい」と決意を話した。
 呉屋秀信大会長による式辞では、「高齢者や障害者等の福祉サービス利用契約制度は、福祉サービスを市場化し福祉の普遍化をもたらしている一方で、サービス利用における地域格差や一部の事業所による法令違反が利用者に不利益を与えるなど新たな課題も生まれている」と課題を提起した。
 また、「事業者による法令遵守の徹底は当然のこと、利用者の権利を擁護する取組みの強化が急務である。地域における福祉文化の創造を積極的に推進し、安全な社会生活の中で誰もが地域の一員であると実感できる共生型福祉社会の実現を目指そう」と大会宣言を採択しアピールを行った。

▲長年の功績を称え、呉屋大会長より賞状を授与される被表彰者

▲会場を埋め尽くす多くの大会参加者

記念講演(要旨)

「これからの社会福祉と私たちの役割」 
 
  ルーテル学院大学 教授 和田敏明氏

〈地域住民や多くの団体の参画による地域福祉のまちづくり〉

 福祉のコミュニティをつくるという時に一番良いのは、地域に住んでいる人たちが、私ならこれは出来る、私はこのことなら関心があるという活動に参加してもらうのが良い。どんな小さな活動でもいいから、参加して活動の相手の方々のことを考え、そのことを通じて住民の意識や態度が変わることが一番確実だと思います。
 福祉の色々な活動を地域に作って、そういう所に参加する人が増えるほど、その地域社会は福祉的な意識や態度を持つ人が増えると考えて良いのではないでしょうか。   

〈文化の違いを認め合う〉

 福祉のまちづくりをする時は、福祉関係者だけが集まるのではなくて、今までは遠いと思っていた人たちにも沢山集まって頂けるようになりました。しかし、色んな人たちが一緒にやろうとすると微妙な違いがいっぱいあって、なかなか合わない。
 それは何故かというと、ボランティアグループやNPO、町内会や商店街、民生委員等の組織における文化の違いではないかと思います。
 文化の違う団体が協力し合って一緒にやるという時に大事なのは、なぜそうなっているのかをお互いに理解してやっていくことだと思います。

〈地域福祉の推進力〉

 住民が活動に参加し、その運営に参画する中で自主的な力をつけて、住民の力がパワーアップしていくのではないかと思います。そして地域の中に疎遠になっていた人たちがお互いに信頼を取り戻して、信頼のネットワークが生まれてくる。そういう信頼のネットワークとかつながりが、地域福祉を進める力だと思うのです。地域福祉の推進力というのは、地域の中に信頼の輪を作っていくということが一番大事なエネルギーになっていくのではないかと思っています。

(※文責 県社協企画広報部)

▲かりゆしウェアを着て講演を行う和田敏明氏


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福祉情報おきなわVol.117(2008.1.1)
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