「運営適正化委員会からの提言書」

●運適における苦情対応から見えてきたこと
●事業所アンケートから見えてきたこと
●地域福祉権利擁護事業の現状と課題

●各福祉施設・提供事業所へ

●各種相談機関へ

●沖縄県社協へ

●沖縄県へ

●各市町村へ

この提言書の目指すもの

 沖縄県福祉サービス運営適正化委員会(以下、「運適」)では、「利用者主体の福祉サービス及び真のノーマリゼーション社会実現のための提言書」(以下、「提言書」)を取りまとめた。5月28日には岡島実委員長が県庁を訪問し、知事あての文書を福祉保健部比嘉佑一郎福祉企画統括監へ手渡し、提言を行った
 
本号では、運適の活動を通して見えてきた県内の福祉の状況・課題等を提起し、について紹介し、提言書の概要を紹介する。

県内関係機関等へ一体化した提言
提言理由とその背景
提言内容
運適からのお知らせ

HPをリニューアル  コンテンツを充実

 この度、ホームページ(HP)をリニューアルしました。アドレスは、下記のとおりです。
運適の事業紹介の他、苦情受付体制の整備の方法、苦情解決Q&Aなど、事業所を対象とした情報も掲載しています。
 今後は、HPを活用し、情報提供機能の強化を図っていきます。本号で紹介した「提言書」も掲載されています。

http://www.okishakyo.or.jp/html/kuzyou

平成18年度 苦情取扱い実績
 18年度に運適に寄せられた苦情件数は60件で、17年度と同数となっている。また、苦情相談以外の問い合わせ等も84件寄せられている。
 苦情の内容別の内訳を見てみると、職員の言葉遣いや態度等に起因する「職員の接遇」に関するものが17件(28%)と最も多く、次いで、サービス内容の説明不足等からくる「説明・情報提供」に関するものが16件(27%)となっている。(図参照)。
 また、サービス種別の内訳で見ると、「老人福祉サービス」が23件、「障害者福祉サービス」が21件となっており、両者で7割超を占めている。
 苦情解決結果では「相談助言」によるものが、41件と最も多かったほか、県知事へ通知したものが1件あった。

  この提言書は、社会福祉法に定められた福祉サービスの基本理念である「個人の尊厳の保持」と「自立生活支援」を踏まえ、運適の7年間の事業実績とそこから見えてきた県内の福祉の現状を踏まえ策定されたものである。内容は大きく分けて、①「福祉サービスに関する苦情の適切な解決」、②「地域福祉権利擁護事業の適正な運営の確保」の促進について提言している。
 また、これらの内容が効果的に推進されるよう、沖縄県、沖縄県社協、市町村、福祉サービス提供事業所、各種相談機関の5つを提言先とし、一体化(連携・協力)した取り組みを呼びかけている。

 まず、提言に至った理由として、県内の福祉の現状と課題について言及している。その概要を以下に紹介する
平成18年度に運適で受付けた60件の苦情対応から、「職員の接遇」、「サービスの質や量」に関する苦情については、精神障害者からの苦情相談が増加していることを挙げ、利用者や家族のニーズを傾聴することや生活支援員等の職員の専門性の向上などを求めている。また、運適の役割と機能を十分把握しないまま相談が回されてくるケースを指摘し、指定基準違反等の指導については市町村行政等で対応するよう求めている。
 社会福祉事業を実施する各福祉施設・福祉サービス提供事業所(以下、「事業所」)を対象に運適が実施したアンケート調査では、事業所における苦情受付体制の課題が挙げられている。回答のあった事業所のうち、7割が苦情受付件数0件となっており、苦情を受付しやすい環境整備を求めている。また、第三者委員の活動が低迷していることに触れ、第三者委員による利用者のニーズ把握や、第三者委員への苦情内容の定期的な報告などを提案している。
 運適が行っている「地域福祉権利擁護事業」運営監視活動の中から、同事業の課題を挙げている。特に、県内では同事業の契約手続きを保留されている「契約待機者」が18年12月時点で67名いる点を指摘している。そして、その主な要因としては、生活支援員の確保が困難なことや生活保護受給世帯の利用増による事業費不足を挙げている。
 また、施設入所者や入院患者等の利用についても12件にとどまっており、同事業が広く利用できるよう、補助金の増額や基幹的社協の増設等、そして、市町村行政や市町村社協の協力体制の強化を提起している。
前節で紹介した背景を踏まえ、次の5つの提言先に対して、それぞれの課題を整理したうえで、改善・協力の提言を行っている。その概要は以下のとおり。
 事業所に対しては、国の指針に基づき、苦情解決のための環境整備を図ることを訴えている。苦情の受付から解決までを事業所全体の取り組みとしてシステム化し、迅速かつ的確に対応することで、サービス改善を図ることを提案している。また、第三者委員の設置促進や、その機能を発揮するための積極的な活用についても言及している。
 専門的な相談機関をはじめ市町村や県社協、市町村社協など、福祉に関する相談を受け付ける機関(窓口)は数多い。これら相談機関に対しては、相談対応の際の「たらいまわし」を防ぎ、ワンストップで対応できるよう求めている。また、発達障害者に対しても適切な相談対応ができるよう、専門機関との協力のもと、その理解を深め、支援の専門性を高める研修の実施を提案している。
 沖縄県社協が実施主体となっている「地域福祉権利擁護事業」において、早急に契約待機者がゼロになるよう具体的な対策を講じるよう提言した。また、施設入所者や入院患者についても同事業が利用できるよう体制整備を求めた。さらに、専門員による相談や利用後のフォローが密接に行われるよう基幹的社協の増設の必要性を訴えている。
 県社協への提言と関連し、増大しているニーズに対応し、権利擁護事業の拡充を図っていくために、その必要経費について事務費補助の増額等の予算措置を早急に講じるよう提言している。
 各市町村に対しては、各事業所の指定基準や不正請求など、行政指導を要する苦情相談への対応について迅速に対応するよう求めている。また、権利擁護事業については、市町村単独補助による基幹的社協の運営が可能なことをあげ、地域福祉計画等へ盛り込み、予算措置を図ることなどを要望している。
 運適の目指すもの、そしてこの提言書の目指すものは、冒頭で紹介した福祉サービスの基本理念である「個人の尊厳の保持」と「自立生活支援」と同じである。真のノーマリゼーション社会の実現に向けた第一歩として、苦情の適切な受付と解決、相談機関の連携、職員の専門性の向上、権利擁護事業の拡充・強化等を挙げている。行政や社協、事業所、関係各機関等がそれぞれの立場で、実現に向けた取り組みに努めることを願っている。
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福祉情報おきなわVol.114(2007.7.1)
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