第3章 基本構想、基本計画

第3節 基本目標3 地域自立生活を支える福祉基盤づくり
1.現状と課題
長引く不況のもと、失業者や低所得者等への支援は重要な課題となっています。失業者や低所得者等への社会的自立支援の一つとして役割を果たしている生活福祉資金貸付事業においては、本県の経済状況や失業率の高止まりの状況等から今後も貸付ニーズは高いことが予想されます。急増した総合支援資金貸付の本格的な償還を平成23年度から始まり、適切な債権管理が必要となってくるとともに、市町村社協における貸付から償還までの継続的な相談支援体制の充実強化が求められています。

 また、ホームレスやひきこもり、ニート等、地域で孤立している人々への伴走型支援として国ではモデル事業を展開し、地域での自立生活を支える支援体制の構築に取り組んでおり、福祉関係機関・団体との連携により、効果的な事業推進が重要となっています。

一方で、平成27年度から施行される「生活困窮者自立支援法」に向けてのモデル事業も始まり、その対応・連携の強化や全社協の「社協・生活支援活動強化方針」に沿った取り組みも求められています。

 さらに、判断能力が不十分な状態にあっても地域生活を継続できるよう支援を行う日常生活自立支援事業や成年後見制度への利用ニーズは高まっており、制度の適切な利用にむけた支援の充実が求められています。

 加えて、深刻化する高齢者の虐待問題について、予防・早期発見・早期対応に向けて地域包括支援センターを中心とした虐待対応職員の資質向上を図る必要があり、困難事例などについても弁護士や社会福祉士等の専門職による支援が求められています。

 そして、矯正施設退所後に福祉サービス等の支援が得られず自立した生活を送ることが困難な高齢者・障害者に対し、司法と福祉が連携し、支援を行うことが必要です。
2.基本構想
民生委員や市町村社協との連携のもと生活福祉資金貸付事業による社会的自立支援の充実を図るとともに、伴走型支援を行う団体や福祉事務所、公共職業安定所等の関係機関との連携を強化し、失業者や低所得者等の生活再建に向けた支援体制の充実強化を図ります。また、市町村社協、民生委員との協力のもと世帯状況に応じた償還指導を行い、適切な債権管理に努めます。
さらに、「生活困窮者自立支援法」関連事業にかかる市町村社協支援、生活福祉資金貸付事業との積極的な連携を行います。
判断能力が低下しても日常生活自立支援事業や成年後見制度を利用し、安心して地域生活が送れるよう市町村社協や行政との連携を強化しながら、権利擁護活動の充実を図ります。
矯正施設退所者で福祉サービスの利用が必要な者については、地域生活定着支援事業により地域生活の基盤づくりを支援するとともに、関係機関とのネットワークを構築し支援体制の充実を目指します。
3.目標達成に向けた取組み
活動目標1 低所得者等への支援
従来の低所得世帯や高齢者・障害者世帯への貸付に加えて、離職者等の新たな貸付ニーズへの対応により生活福資金貸付事業が雇用施策を補完的な役割を担ってきていることから、市町村社協及び民生委員はもとより、伴走型支援を行う団体や福祉事務所や公共職業安定所等の関係機関との連携を強化し、借受世帯の社会的自立の促進を図ります。
また、市町村社協における相談体制を強化し、地域住民の自立生活支援に努めるとともに、借受世帯の償還能力その他の状況を十分に勘案しつつ、必要な場合は法的措置を含めて償還の促進を図り、生活福祉資金貸付事業の適正な運営を図ります。
 (1)生活福祉資金貸付事業等の効果的な運営
【取組み】
ニーズに対応した適切な貸付による低所得世帯等の自立支援
市町村社協等との連携による債権管理の強化
相談支援体制の充実強化
関係機関・団体との連携強化
【目標】
様々な課題を抱える低所得者世帯等に対し、民生委員、市町村社協相談員等の丁寧な相談を通し必要な資金の貸付を行い、借受世帯の社会的自立の促進を図ります。
借受世帯の状況に応じた償還指導を行うと共に法的措置を含めた適切な債権管理を行い償還率の低下を防ぎます。
貸付申込から貸付後の償還まで、世帯への自立に向けた支援を行うための相談員の相談技術、体制の充実強化を図り、多くの課題を抱える世帯等への適切な支援につなげます。
伴走型支援を行う団体や福祉事務所や公共職業安定所等の関係機関との情報を共有化し連携を強化し、低所得世帯等の自立を図ります。

活動目標2 権利擁護活動の推進
判断能力が不十分な高齢者や障害者などに対して福祉サービスの利用援助やそれに伴う日常的金銭管理などを行う日常生活自立支援事業の推進にあたっては、市町村社協と連携を図りながら、増加していくことが見込まれる利用ニーズへの対応に取り組んで行きます。
また、判断能力が低下した利用者が円滑に成年後見制度を利用できるよう、市町村が実施する成年後見制度利用支援事業の利用促進を図り、かつ、市町村社協が行う幅広い権利擁護活動の強化を図るため、法人後見などの取組みについて検討を進めていきます。
(1)日常生活自立支援事業の推進
【取組み】
増加する利用希望者に対応するための事業実施体制の構築
生活支援員確保の取組み強化推進
事業従事者の資質向上のための取組みの強化
【目標】
事業の適正化・効率化を図り、新規契約締結件数を対前年度比10%増、実利用者数を平成22年度469名から平成27年度までに600名へと増加をめざし、待機者の解消に努めます。
生活支援員について、平成22年度182名から平成27年度230名の増員をめざし、基幹的社協の業務が適正かつ迅速に実施できるようにします。
事業従事者の資質向上を図ることにより、効率的なサービスの実施を目指します。
(2)成年後見制度の利用支援
【取組み】
関係機関と連携・協働した成年後見制度の利用促進
市町村社協における日常生活支援活動の強化
【目標】
平成22年度現在、日常生活自立支援事業利用者のうち、成年後見制度への移行件数は26件(累計)ありますが、成年後見制度が必要な利用者が制度を利用できるよう関係機関との連携を強化し、平成27年度までに90件の移行を目指します。
より多くの市町村社協で法人後見事業に取り組むことにより、地域住民に対して切れ目のない幅広い権利擁護支援の実施につなげます。



活動目標3 福祉サービスを必要とする矯正施設退所者への支援
刑務所等の矯正施設を退所した高齢者や障害者の社会復帰について、地域での自立生活の基盤を整えるために住居の確保や福祉サービスの手続き等を行う地域生活定着支援事業を実施します。

また、矯正施設や保護観察所、更生保護施設等の司法機関との連携を図るとともに県外の地域生活定着支援センターや県内の福祉事務所・高齢者施設及び障害者施設等の福祉サービス事業所との連携をもとに支援の充実に努めます。
(1)地域生活定着支援事業の実施
【取組み】
生活基盤の確保・拡大
個別支援ネットワークの構築
【目標】
行政および福祉・医療関係者、民間団体等との連携により矯正施設退所後の住居の確保に努めるとともに、地域での社会生活を支えるために、福祉サービスの利用を支援します。
多機関連携による支援体制を構築し、本人の社会生活の安定化を図るとともに、受入事業所の拡大や個別支援のネットワーク拡大を目指します。

(「第4節 基本目標4 明るい長寿社会づくり」へ)

(「第3次沖縄県社協21プラン」のページへ戻る)

戻る/トップ


〒903-8603 沖縄県那覇市首里石嶺町4-373-1
沖縄県社会福祉協議会
TEL:098-887-2000 / FAX:098-887-2024